カーボンフリー戦略、陸海空で進みつつある。ということで「海」の状況は?

2050年までにクルマ以外の移動手段もカーボンフリーとしなければならない。陸海空のウチ、「陸」の移動手段についちゃ電気か燃料電池で全て対応可能だと思う。「海」はどうか? 当然のことながら動き始めている。まず最初の一歩がLNG(液化天然ガス)をパワーユニットに使うこと。現在大型船舶用としてメインで使われているディーゼルエンジン、燃料はC重油。

精製度合いが極めて低く、使用時は130度以上に過熱しサラサラの状態としてエンジンに送り込んでいる。ほぼ野放しだった2016年以前の船舶ときたら、当然ながら排気ガスが超を10個付けたいくらい汚い。大型船舶の後方をプレジャーボートで走ると臭くて死ぬかと思う。そこで登場してきたのがLNGを使うフネ。下は日本郵船の「サクラリーダー」です。

主としてトヨタ車を運ぶ。7千台積

2酸化炭素排出量40%減。NOxを86%減。極めて有害な硫黄酸化物を99%減らしている。C重油より高い燃料を使うが40%燃費向上したため運航コストは大差ないそうな。クルマで言えば2030年CAFEといったイメージか? カーボンフリーになるとどうなるか。下はスウェーデンのウォレニウスマリンが開発中の風力船。自動車運搬船をイメージしており最大で10ノット出るという。

写真/Wallenius Marine

自動車メーカーは強力なカーボンフリーを推進しているため、こんな自動車運搬船を使うようになるかもしれません。クルーズ船なども風力船になるかも。定時運航をしようとすれば補助動力が必要になっているかもしれない。そうなったら下のような液体水素を使った動力を併用してもいいと思う。風力をメインとしていれば、液体水素搭載量を減らせます。

ということで川崎重工が建造を始めるのは水素社会を見据えた液化水素を運搬するフネ。全長300m。LNGを運んでいるフネくらい大きい。当然ながら動力源として液化水素を使う。-259度以下の液化水素、陸上で使おうとすれば凍結を防ぐため様々な対策をしなければならない。船舶なら大量の水を暖めるため使える。水を冷やすと地球寒冷化しちゃう?

小型船舶は燃料電池でしょう。すでにヤンマーがトヨタのスタック使う船舶を開発中。下のフネのイメージだと巡航時に300馬力くらい必要。新型MIRAI用のスタックなら2セットで348馬力。3セットなら522馬力。燃料タンクは衝突事故を考えなくちゃならない自動車用より簡易な構造で済むし、そもそもスペースに余裕あるため800気圧の半分くらいでいい。

港に液体水素のステーションを作っておけば、漁船だと数日分の燃料を搭載出来ることだろう。これまた凍結防止に海水を使える。クルマより技術的なハードルは低い。価格も500馬力のディーゼルエンジンだと軽く1000万円を超える。30年すればスタックも一段と安くなるだろうから、ディーゼルエンジンより安価になる可能性すらあります。

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