想定外の円安ドル高で日本の自動車産業は莫大な収益を挙げている。投資の好機を上手く生かせるか?

円安ドル高が続く。海外で収益を得ている自動車産業からすれば登り坂でも漕がなくて進むほどの超追い風になってます。なかでも輸出比率の高いマツダやスバルからすれば、笑いが止まらないほど。こう書くと「材料は海外から輸入している」というワケワカラン主張など出てくるけれど、自動車の販売価格に占める輸入素材の金額なんて微々たるもの。仮に10%としたって90%儲かる。

破綻しそうなスタートアップを買うことだって可能

日本で税込み400万円の頒価を付けているクルマなら、アメリカ運んで輸入関税払ったって400万円にはならない。今の円ドルレートだと2万6千ドル。それが3万6千ドルで売れるのだった。日本で売るより150万円以上高く売れる。マツダやスバルの規模なら50万台売ると7500億円! 何の経費も掛からない純益です! 前述の通り10%を輸入材料分に取られたって6750億円です。

海外で生産するクルマだって笑いが止まらない。アメリカで生産するクルマは95%程度が現地で部品を調達している。したがって円安によってコストダウン出来るワケじゃない。されどアメリカで生産しアメリカで販売するクルマの収益は日本に還流してくる。日本円に換算すれば、これまた為替差益で笑いが止まらない。120円で1兆2千億円の利益を挙げていたとしたら4千億円増。

この濡れ手に粟的な収益をどう使うかで10年先が決まってくる。量産効果によるコストダウンを期待できる規模の電池工場は3000億円もあれば立ち上げられます。2~3社で組むことで容易に作れることだろう。吉永体制の頃のスバルは、アメリカで得た莫大な収益を開発のために投資しなかった。それが今のパワーユニット難民を招いてしまう。しっかり開発していたら、もっと良い今があった。

しかも前述の通り今の好調な収益は信じられないほどの円安水準によるもの。1ドル100円という為替レートになっていたら、魅力的なパワーユニットを持っていない今のスバルは厳しかったろう。運が良かっただけ、と考える人は今のスバルにいるだろうか? マツダも今までの路線を修正する好機だ。最近のマツダの動きを見るとすでに毛籠さんがいろんな手を打ってますね。

<おすすめ記事>

2 Responses to “想定外の円安ドル高で日本の自動車産業は莫大な収益を挙げている。投資の好機を上手く生かせるか?”

  1. 二級人 より:

    ホンダは政府から1500億円の補助金を受けているのを意に介さず、カナダに1兆2000億円を投資するという。円を売って(カナダ)ドルを買うことになるので円安になる方向です。投資も利益回収も海外で行うということか。日本は後回しか考えていないか。

    円安なのになぜか日本企業の海外投資が止まらない。損得勘定で国内投資しないのだろうが、結局、円安と物価高は当分収まらない…

  2. いけだ より:

    おっしゃるとおり円安は自動車業界にとっては干天の慈雨で、このチャンスを有効に使ってほしいと思います。

    産業全体に目を向けるとAIとか半導体とかが各国の競争の主戦場になっていてこの分野で勝った国がおいしい思いをするはずですが、
    日本はこの分野ですでに負けていますし、先頭を走っている国に比べると投資額が1桁少なくて巻き返しもままならないです。

    そう考えると自動車産業以外(もっといえばトヨタ自動車以外)は将来が暗いと思っています。

コメントを残す

このページの先頭へ