燃料電池、乗用車用に関して言えば、年内に「存続」か「縮小」か見えてくると思う

ENEOSが突如4月1日から水素価格を1kgあたり2200円にすると言い出した件の続報。ハイブリッド車と同等のエネルギーコストを考えたらイワタニなどの水素価格(1kgあたり1210円)が適当だと思う。もしイワタニが値上げした時点で、日本に於ける燃料電池車の普及は凍結状態になる。現時点でもクラウンセダンの燃料電池車比率、極端に低い。スタンド少なく高ければ買わないです。

一週間ほど前、シェルがカリフォルニア州に持っていた7カ所の水素ステーションを全廃すると発表した。シェルもENEOSと同じく、乗用車用の水素販売をビジネスとして継続することを止めたということになる。アメリカの燃料電池車の少ない台数を考えたら、逃げ出すのはシェルだけじゃないと思う。トヨタもホンダも燃料電池車の主力市場はアメリカという位置づけなのに。

写真/クリッカー

なぜ水素ステーションを止めるかと言えば、赤字を垂れ流しているからだ。水素のコストは大量生産することで1kgあたり1000円前後のめどがついている。しかし82Mまで圧縮するため膨大な電力を使う上、運ぼうとしたら極めて効率悪い。なんたって水なら10トン積める大型のタンク車に液体水素を詰め込んでも700kgにしかならない。圧縮水素だとさらに減ってしまう。

特殊な車両を使わなければならず、さらに1運行あたりで運べる商品の価格が少ないのだから厳しい。ENEOSのように2倍の価格を付けても、まだ大赤字。水素ステーションの維持費用や開設費用だってガソリンスタンドの10倍程度掛かる。いずれにしろ水素を販売するビジネスはとうてい成り立たない。国は援助するどころか、厳しい規制を掛けたまま。だめだこりゃ、です。

誰よりもMIRAIで遊んだ私としては残念でならない。クルマとしての性能を考えたら何の問題も無し! レースも出来るしラリーだって出来る。ノーマルで乗れば驚くほど快適だ。電気自動車と違って満充填は3分。それで500km以上走れてしまう。年内に抜本的なカーボンニュートラル実現のための水素利用プログラムなど出てこなければ、悲しいかな燃料電池乗用車の将来は無い。

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3 Responses to “燃料電池、乗用車用に関して言えば、年内に「存続」か「縮小」か見えてくると思う”

  1. アミーゴ5号リボーン より:

    「燃料電池なんてモリゾウ会長の道楽なのよ!」とか
    「所詮水素燃料のエンジンなんて、モリゾウ会長へのご機嫌取りじゃん!」とか、
    早くもネガティブな悪口が聞こえてくるようです、はい。

    すっかすですね、
    こういう人の足元を見て正義感振る輩ほど、自分では何も変えられないことを、知っております。

    だいたいですね、
    自分も初代ミライに試乗したけど、排気ガスとCO2の代わりに水蒸気とお湯が出てくるのには、ワクワクドキドキが止まりませんでした。

    私見ですが、
    これまで技術者の方々が、人と地球のために魂を込めて開発した技術が、お蔵入りしたことはありませんゾ。

    確かに、
    水素はインフラが整備されなければ、製品としては陽の目を見ないかもしれないけど、その高度に磨き込まれた数多くの周辺技術は、必ずどこかで役に立つ。

    しかもですよ、
    誰も真似できないレベルで!!!

    これからも魂込めて、様々なチャレンジに挑んで欲しいと思います。

  2. ボヤキ爺 より:

    昨日のENEOSの水素値上げの記事を読んで、とうとう撤退のときが近付いて来たかと思ってたのですが、今朝アメリカでもシェルが撤退するとのニュースに触れ、そこまでなのかと軽いショックを受けていました。
    それは、私的には将来的に乗用車には難しいけど長距離トラックにはFCEVが必要と考えていたからです。撤退しちゃったら、長距離トラックでのFCEVの活用も止めにしちゃうのかって心配になりました。完全にBEVで行けってENEOSも政府も考えているのでしょうか。

    日本が抱えているたくさんの課題に、明確な答えもビジョンも持っていない・出せない政府なので、ENEOSも付き合ってられんとサジを投げたってことなのかも知れないですね。
    トヨタの水素戦略も政府の水素立国の方針に乗っかっていたようなところもあり、はしごを外された感じですね。

    これを機会に、全方位から水素を外して(正直もったいない!)、HVとPHEVとBEVに変更し、それでも近い将来にはHVも無くなるわけで、残りはPHEVとBEVになるという事です。
    PHEVについては、ポルシェのようにe-Fuelのプラントを立ち上げて、e-Fuel供給を保証し、e-Fuelで動くPHEVを実現すればカーボンニュートラルなPHEVを実現できるということです。
    BEVについては2025年に各トヨタのお店に急速充電器の設置と、2026年にBEVを150万台新車で販売すると約束しているわけだから、頑張るしかないのです。そして、その後は走る蓄電池の機能にも着目し、再生可能エネルギーによる電力や、小さい地域内でのVPPやス、マートグリッドに取り組みウーブンな社会作りに乗り出すのはいかがでしょう。
    つまり、得意フレーズの「しょせんクルマ屋」を卒業しましょうということです。
    上から目線でスミマセン

  3. トヨタ車ユーザー より:

    日経x-techには「出光・ENEOS・北電の3社が北海道で年間1万トンのグリーン水素生産へ」と出ています。日経だからどこまで…というのもありますが(笑
    ガソリンのように水素を売るのは難しいけど、産業エネルギーとしては水素への取り組みは止めていないようです。
    であれば、水素ステーションを自前で持っている運送業者(隣町の水素ステーションは運送屋さんがやっている)には何とか卸せる?→FCVのトラックはまだ脈ありといえるんじゃないでしょうか。

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