自動ブレーキの性能

読者の方が興味深い情報サイトを紹介してくれた。英国保険協会による第三者的な自動ブレーキ(英語を直訳すると自律非常ブ
レーキ)のテスト結果である。下にリンクしたpdfファイルを御覧頂きたく。今回はいわゆる「シティ・エマージェンシー」と呼ばれる「停車している車両」
にノーブレーキで接近したモードです。

Autonomous Emergency Braking


ページ目から個別車種のテスト結果が始まる。マツダ6は現行アテンザですね。右の数字は初速を示す。10km/h。20km/h。そこから5km/h刻み
で50km/hまでテストしている(なぜかスバルだけ50km/h以上を試してます)。下の数字は衝突の時間から遡った0,2秒単位でのカウント。

デー
タを見れば多く語る必要などなかろう。速度表示が横棒のまま、というケースはノーブレーキだということ。また、速度を示す棒が右端で「0」になっていれば
停止出来たことを意味する。ボルボV40は最初の表が標準モデル。2つ目に出てくるの、日本で主力になっているセーフティパッケージ付きであります。


国保険協会のテストを見る限り、アイサイトが他を圧倒している。50km/h+αから完全停止してますから。12ページ目を見ると、衝突から遡ってブレー
キを掛け始めたタイミングがよ〜く解る。アイサイトだけ2秒前から(約30m手前)から減速を開始し、1,6秒前からフルブレーキングに近い減速Gを出し
ている。

つまりアイサイトは2秒前に前方の障害物を「クルマ」だと認識し、1,6秒前に確定してフルブレーキ制御を入れている。レーザーレーダーの車種は25km/hで衝突の0,8秒前。距離にしたら6m手前でないと障害物かどうかの判定が出来ない。ミリ波レーダーの車種だって12m手前でしか障害物を認定出来ない。


イサイトを認めない技術者の多くは「探知距離が足りない」と言う。されど現実を見ればアイサイトは最もロングレインジでブレーキを掛けられる能力を持って
いるのだった。「第2次世界大戦の末期の日本の優秀な技術者はプロペラで音速は超えられない」という否定の論文ばかり書いていた、と何度も紹介した。


イサイトの否定から入る技術者を見る度に「この人は優秀なのかもしれないが、明日を見る目は無いですね」と思う。障害物の探知だけならミリ波レーダーで出
来る。ただそれに対しブレーキを掛けるべき物体かどうか」の判定を出来ない。カメラであれば、少なくとも自動車の後部だという認識は可能。


ちろん今後はミリ波レーダー+カメラ1個で自律非常ブレーキをロングレインジから掛けてくる車種も出てくることだろう。それまではアイサイトが圧倒的に優
れていると考えます。V40は正面に関しちゃアイサイトに届かないものの、歩行者や自転車、側方、後方などの安全性確保という点で素晴らしい。

<おすすめ記事>

8 Responses to “自動ブレーキの性能”

  1. Yuto より:

    いつも拝見しています。たいへん興味深く、おもしろいデータありがとうございました。
    近々、車を買い換えのため色々な視点から国内・海外含め各社の車種を悩ましく思っていました。
    たいへん参考になりました。
    SUVが好きで、さらにアイサイトに最高レベルのセーフティボディ、4WD(AWD)、ハイブリッドの全部載せ。この車に気持ちは固まりました。

  2. レシピ より:

    アテンザは赤外線のみですね。日本仕様はミリ波と赤外線がセットなので参考になりません。
    海外では赤外線が上級グレードで標準でミリ波がMOPで選べるみたいですね。

  3. 赤のファミリア より:

    今、ボルボV40に非常に興味をもっているのですが、V40にはドライブレコーダーは取り付けられるのでしょうか?V40のバックミラー裏は、一見するとセンサーだらけでドラレコの取り付けスペースが無さそうです。また、ドラレコを設置することで各センサーに悪影響が出ないかも心配です。V40にドラレコがつくならば私にとって理想の車になるのですが…

  4. nogawan より:

    英国保険協会は独自にテストして啓蒙するんですね。ドライバが慢心して返って事故が増える…などと根拠のない言い掛りをつける日本の保険会社と大違いですね。
    スバルのアウトバックは日本向けの車を、イギリスに輸送したようですね。60km/hから自動ブレーキでみごとに停止する動画がYOUTUBEにアップされてました。

    「探知距離が足りない」と云う技術者は、この分野での経験が足りないのでしょう。実際の複雑な交通環境で急ブレーキを掛ける難しさ、必要な情報の種類が分ってない。スバルが公表している探知距離は控え目な値です。条件によりますが、先行車は120m位から検知できてるはずです。

  5. ぶるっち より:

    スバル アイサイト驚異的ですね。
    天候にも左右されるかもしれないけど、これは凄い事だ。
    静止している物に向かっていくときのテストだと思うけど
    お互いの車両が走っている車のときはどうなのかな??
    お互い走っている時も、急速に接近していく場合もこんなに手前から作動するのかな??
    もう少し車間を詰めたいと近づいていく時に自動的に半ブレーキかけられるのかな?
    分からない事が沢山ありすぎて。。。
    オプションにしろ、標準にしろ、高いお代えを払っているのだから
    メーカーにはもっと分かりやすく、動作の条件開示をお願いしたい。

  6. BP5F より:

    アイサイトはどんどん進歩しているのですね。旧型機種もソフトウエアアップデートしてくれればいいのに(有償でも可)。
    関連動画の関連で以下のようなものがアップされていました。昨年末に公開されているようです。1分55秒位〜がAEB自動ブレーキのテストで、この動画でもアウトバックが60km/hから見事に停車しています。なぜスバルはこのことを広告(公表)しないのでしょうか?レーザーレーダの30km/h以上ではまったく動作しないのと比べると雲泥の差です。

  7. ねこまんま より:

    アイサイト圧倒的に高性能ですね。
    今年の頭に知人が車を購入するので代理でいろいろと見て回りましたが、その時にスバルの営業の方が「アイサイトは他社の衝突軽減装置ブレーキと違って60kmからでも完全にフルブレーキして停止するんです、ただ運輸省の指導で機械任せを煽るような宣伝はするなとキツク言われていまして悔しいです」と言ってました。結局どんな良い技術ができてもそれを生かせないのであれば残念なことです。運輸省もそんなこと言うならVWのUP!の宣伝こそ突っ込めばよいかと。あれってどう見てもよそ見していても止まりますって宣伝ですが。
    近い将来アイサイトレベルの自動ブレーキが標準化されれば不幸な事故もかなり減るのになと思います。
    ただ30km以下でしか動作しなくてもコンビニの壁に突っ込んだり渋滞時に前の車に衝突したりはかなり防げると思いますので無いよりははるかにましだと思います。

  8. 654 より:

     実際に約50キロで走行中、前の車にいきなり急ブレーキを踏まれ、アイサイトのおかげで助けられたことがあります。私が急ブレーキを踏む前から、車の方がより強いブレーキをかけてくれている、そう表現すればよいでしょうか。(正直、その時は衝突を覚悟しました。)
     表示の方は、少し控えめくらいの方が、頼りすぎないで良いと思います。購入した際には、「40キロ超でも止まるとは思います」くらいに、担当は控えめに話していました。後で聞いたら、50キロ位でも停止していたそうです。

このページの先頭へ