スバル、今や優れたハイブリッドを作ってもブランドが無くなりました。日本では厳しいかもしれません

先日開催された『マルチパスウェイ・ワークショップ』でスバルはストロングハイブリッドを出展した。詳しく紹介してみたい。アーキテクチャー(構造や構成)からすれば、トヨタTHS2である。使用しているモーターや発電機、動力分割機構などもトヨタと共通。横置き用を縦置きにしたと思えばよかろう。スバルはすでにストロングハイブリッドを想定しており、CB18エンジンの前後長はFB系より40mmも短い。これ、ハイブリッドユニットを入れるためだった。

ある意味、極限を追求したECOエンジンと言って良い。スバル・ハイブリッド最大の特徴は、後輪をドライブシャフトで直結している点にある。ライバルのハイブリッド、ホンダを除けば後輪をモーターで駆動してます。三菱自動車などに言わせれば「後輪の駆動力を先に立ち上げることが出来るから様々なセッティングが出来る」。スバルは「後輪と常時繋がっているからこそ出てくる安定感がある」。どちらも4WDについちゃ一家言あるので「さもありなん」。

とはいえスバル藤貫COOの言うことは信用出来る。スバルの後輪直接駆動ハイブリッド4WDも素晴らしく良いんだと思う。ここからがテーマです。スバルのシンメトリカル4WDを大々的に広めたのは2代目レガシィの時に宣伝部を率いていた山口晃さんだ。山口さんも突如閃いたんじゃなく、外部のある人がスバルの良さの原点をそうやって紹介したからだ(このあたりは関係者が全て引退してから詳細を)。2代目レガシィまで水平対向の良さは振動の少なさのみとされていた。

そして「シンメトリカル4WDの良さがWRCでの大活躍に繋がっている」と解釈された。実際、エンジンは三菱自動車の方がパワフルである。鋭い人なら解る通り「シンメトリカル4WD凄い」の原点と言えばWRCです。そうやって出来上がったブランドイメージを高く評価した人たちが、レガシィやインプレッサ、フォレスターを買った。どのモデルもターボ付きの高いグレードが人気だったことを見れば、ブランド力だったことを理解して頂けることだろう。

翻って今はどうか。スバルのイメージといえば未だにアイサイト。市販車を使ったモータースポーツをやっていないため、パワフルなエンジン積むWRX S4やBRZの売れ行きだってイマイチだ。かつての「走りといえばスバル!」というブランドイメージなど無いに等しい。今のスバルに「走りがいい」とアピールするクルマが出ても厳しいんじゃなかろうか。ましてやフォレスターのストロングハイブリッドになれば400万円を軽く突破すると思う。

アメリカではスバルのブランドイメージが残っているため順当に売れることだろう。けれどブランドを作ってこなかった日本は厳しいと予想しておく。

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14 Responses to “スバル、今や優れたハイブリッドを作ってもブランドが無くなりました。日本では厳しいかもしれません”

  1. スバル、WRC復帰宣言してくれ より:

    トヨタのTHSⅡを使用したアクセラハイブリッドの販売は芳しくなくやがてラインナップから消えていきました。
    マツダ車のユーザーは車選びに於いて拘りがあり、又“アンチトヨタ”が多い事、さらにその上にトヨタの技術でのフルハイブリッド化が原因だったと思っています。
    マツダ車のユーザー以上だと思えるスバル車を愛するスバリストの人達が果たして、トヨタ式フルハイブリッド車を選択するんでしょうか。
    甚だ疑問に思います。

    • どんと松吾郎 より:

      私の考えでは現在のご新規スバルユーザーでWRCの栄光を知っている人などかなり少なくなったのではと思います。
      今のユーザーはぶつからない車のCMと近年のSUVブームの影響かと。その証拠にフォレスターのユーザー層も現在はアウトドア好きなファミリーやそのファミリーの生き方にちょっぴり憧れている丘アウトドアファミリーが多いようなイメージです。
      そこにぶつからないアイサイトという夢のようなシステムが相乗効果をもたらしているのかなと。
      ただ安全支援系は他社も追い付いてきていますしSUVブームが何時まで持つのか。国沢さんが仰るように新しいコアユーザーを生み出す為の種蒔きがなされているのか。いずれにしても、トヨタの後ろ盾がないと立ち行かなくなる会社になってしまうのでしょうか。

    •   より:

      国内有名メーカーのファンの中で一番拘りが強いとされているのがスバルファンのスバリストではありますが、スバリストならスバルはトヨタとの結びつきをどんどんと強くしているのは周知の事実なので、その中でも今も変わらずスバリストでいるなら、少なくともストロングハイブリッド採用でもスバリストでしょう。

  2. 山田 より:

    ちなみに展示車両のエンジンはFB系ですよ、わざわざ展示様にPCUや吸気系を誂えておいて実はCB系は無いと思います。

    2018年に北米専売でだした今回のハイブリッドの元モデルTH2Aは駆動用/発電用にモータの用途が別れていてデュアルモータードライブはタイミング的に盛り込めなかったとの記事を読んだことがありました。
    今回はどうなんでしょう?

  3. aosuzume より:

    ブランドをどのような意味で使われているのかによりますが、個性という意味であれば、スバルのブランド力は充分にありますし、今後もあり続けるでしょう。
    ただし「マーケットで多数売る力」をブランド力と言うならば、もともとスバルのそれは弱かったでしょうし、今後もしばらくはそうでしょうね。
    スバルの強みは、真面目さとこだわりだと感じます。人を守るという基点から少ない資源を早くから安全技術の開発に注力してますし、燃費が稼げないという大きなデメリットを持つけれど、低重心、低振動、シンメトリーという走行上のバランスと快適性に優れる水平対向エンジンを使い続け、実際に製品としてまとめ上げ体現し続けているスバルは、個性以外の何者でもないですし、独自のブランド力を持っていると思います。
    ただ、マーケットではスバルのこだわりを理解し共感する方々はまだまだ少ないですし、そもそもそこまで車に拘ってない人が多いので、結果、その多数派に合わせて車を作っているメーカーが売れているということでしょう。
    スバルの思想と技術は、ベーシックな分、ある意味派手さがなく地味で「大人」なので、マーケットの価値観が大人にならないとシェアは拡大しないと思います。

    • プレアデス星団 より:

      以前はともかくとして現在メーカーは低重心なんて言ってませんし、多くのスバル乗りも理解していると思います。
      確かにエンジン単体としてみた場合は低重心なのですが、車に搭載するとオイルパンやエキマニの関係で搭載位置を下げられません。
      結果としてシャフト類や軸位置が高るのでミッションの位置も上がり重心は低く出来ません。
      また水平対向の為に左右のスペースが無く補機類の搭載位置が高くなるのも低重心に出来ない事の一つです。

  4. なかさん より:

    クロストレックにハイブリッドよりマツダの1.8 ディーゼルがのったら売れそう。 
     
    面倒かもしれないけどマッダもすす取りするDラー増えればもっと売れそう。  

  5. まりも より:

    最近フォレスターを買った知人に聞いてみても、オフロード+安全のイメージで、昔の4WD+ハイパワーなイメージで買っている人はいなかったです。
    レヴォーグよりレイバックに興味がるような感じです。
    昔からのファンとしては寂しいですが、スバルを支えてくれているのでありがたいです。

    ぜひスバルには、WRC他でのクレイジーなパフォーマンスをアピールしていただいて、安全をベースにアウトドアと走りの両方のイメージを構築していただけたらいいなと思います。

    私はトヨタのシステムがスバルに載っていてもウェルカムです!
    こだわりがありそうなので、味付けが楽しみです。

  6. トヨタ車ユーザー より:

    スバルとしては、SUVブームが去ってもSUVに乗ってくれる顧客に期待するのでしょう。RAV4が中断した時もフォレスターは売っていました。
    切り離されていないリアドライブとエンジンも使うTHSのように、ちょっと古くなったコンポーネンツをもとに、ガソリン主体の車をスバルに作ってもらうのが、トヨタの考え方と思います。
    でも、高くしたらやっぱり売れないでしょうね。。。
    ソルテラのMCでの価格設定を見るとやりかねないデス。

  7. たけのこ より:

    エクシーガからヤリスハイブリッドに乗り換えて思ったところですが
    走り出しはモーターの方が静かで滑らかで力強いので、そこから静かで滑らかな水平対向エンジンにバトンタッチして車速を上げていくというのは素晴らしいです
    またバッテリーを後方下側に積載することにより低重心化と車重の前後配分が良くなり、乗り味が上品かつハンドルを握るのが楽しくなりそうなスバルのストロングハイブリッドを楽しみにしています

  8. 猫まんま より:

    マツダのアクセラハイブリッドは本社の人間が乗ってますがすごく良いですよ。マツダ3と違ってしなやかなリアサス、街乗り18前後の低燃費、条件良ければ23くらい行くとか。今までのマツダ車で一番の出来かも?
    スバルも骨董品のボクサーに拘らずにエンジンもトヨタのM20で良いと思うんですけどね。どうせ価格は跳ね上がるだろうし台数売れないしだろうし。
    スバルの一番の弱点の燃費さえよくなれば商品価値は上がると思います。

  9. おっさん より:

    スバルはスバルユーザーが求めているものをもっと理解して欲しい。
    良い燃費のどこもかしこも及第点の車なんか他の世界一のメーカーに任せておけば良い。
    内装が野暮ったくたってデザインがダサくたって、それをねじ伏せる走りを求めているんだって。
    大雪の日に心配なく乗れる、大雨の轟音でもまぁ普段のドロドロ音と大して変わらんわな、そんなとんがった車が欲しいんですよ。
    もうちょっと頑張ってよ、本当に。

  10. ヌリア より:

    スバルはクロスオーバーSUVで市場をリードしましたが、本格的なSUVは未だにフォレスターのみのままでいつの間にか出遅れ気味ですね(あ、ソルテラは…)

    三菱自動車はトライトンなど最近キャラが立って元気なのでスバルにも頑張ってほしいです

  11. ひだしょー より:

    GDAに乗っていますが、もっとアイサイトと合わせて、見切りの良さに拘る真面目な設計、上位常連の衝突安全性など、ライトユーザー向けにもコツコツと伝えるべき良い点は沢山あると思うのだが・・。シンメトリカルAWD?そんな昔のスバリストしか喜ばない、分かりにくい宣伝文句は止めてさあ。

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