ロータリーエンジンの技術的な難しさは冷間始動時の排気ガス規正クリア。マツダ、やっぱり技術力ある?

御存知の通り今や排気ガス規制は大気と同等レベルが要求され厳しい。なかでも困難を極めるのが冷間始動時。エンジン掛かった直後は排気ガスの温度低いため、触媒を活性させるのが難しい。だからこそ最近のクルマは全てエンジンのエキマニ直下に一つ目の触媒を置く。それでも水平対向だと2気筒分の排気ガスしか通過しないため、相当苦労したそうな。というかギリギリらしい。排気量が小さければ小さいほど難易度上がっていく。

さらにロータリーエンジンは燃焼温度が低い上、燃焼室形状も弁当箱のような長方体で理想型である球形にほど遠い。冷間時から理想空燃費で完全燃焼させ、さらに触媒を早く反応温度まで上げなくちゃならないのだった。まぁ触媒は300cc分ならコンパクトで済むため、電熱器で余熱させるという方法など使っているのかもしれません。エンジン掛かったり止まったりするPHVと違いエンジン掛かったままのレンジエクステンダーだからイケる?

いずれにしろハンパな技術じゃ300ccのシングルローターの冷間エミッションをコントロール出来ない。もう一つは熱効率。今やピストンエンジンの熱効率は40%を優に超えている。日産なんかeパワー用の発電専用エンジンに限り50%を目指すと言ってます。新開発のロータリーエンジンの熱効率は明らかにされていないものの、30%以上を達成できればマツダ凄いと賞賛したい。それでもよく出来たピストンエンジンには及ぶまい。

じゃロータリーエンジンのメリットはないかとなれば、やはりスムースで静かだと思う。300ccクラスの1気筒ピストンエンジンを滑らかに回そうとすればバランスシャフトを必要とする。重くて効率悪くなってしまう。ロータリーなら全く振動を感じないレベルまで可能だろう。少し大げさに表現すると、エンジン掛かってるか解らないかもしれません。レンジエクステンダー用として使うなら面白い。効率を除けば良いパワーユニットかと。

もう一つ。熱効率悪い=熱源になるということ。冬場、暖房のため電気自動車は極端に航続距離が短くなるものの、ロータリーエンジンの発電機を稼働させておけば問題ないと思う。冬場の総合的なエネルギー効率で言えば決して悪くない? いずれにしろカッコ良くて魅力的なクルマに搭載してこそ商品性を確保できる。MX-30で、しかも電気自動車より高い価格になってしまったら買う人は少ないんじゃなかろうか。

 

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9 Responses to “ロータリーエンジンの技術的な難しさは冷間始動時の排気ガス規正クリア。マツダ、やっぱり技術力ある?”

  1. Rotarycoupe より:

    燃焼温度が低い代わりに排気温度がレシプロに比べ高いです。理由は燃焼室が縦に長く、隅まで燃えるのに時間がかかるから。オマケに上死点から下死点まで270°もあるので、熱が壁面から逃げてしまいます。つまり低負荷で回転数を下げると今度は熱が壁面から盛んに逃げる構造的弱点をロータリーは持っています。

    その分、暖房は強烈に効きますよ。
    まだオートエアコンがない時代、雪道でスタックして前後進を繰り返すと、あっという間に車内が暑くなったのは懐かしい思い出です。

    レンジエクステンダーは普段エンジンをかけないはずながら、冬場はガソリン暖房としてエンジンを回したくなりますね。マニアはこれをヨタ8みたいだと喜ぶのが目に浮かびます。

  2. NRT より:

    ロータリーで高級車やスポーツカーを走らせるなら多少性能や効率で不利でもロマンでまだ欲しくなります。しかし発電機にロマンを感じることは難しく、ロータリーと言われても心ときめきません。eパワー等と性能面でガチンコ勝負できるならともかく「頑固親父があえてロータリーで作った発電機」にプレミアム価格を払う人は少ないと思います。そんなことより個人的には新開発直6ディーゼルを活用して色んな良いクルマを作ってほしいです。あれは技術のための技術にとどまらず、長距離を乗るユーザーには本当に魅力と価値のあるユニットだと思います。

  3. CX-60 より:

    冷感時のエミッションには寄与しませんが、
    可変バルタイ、
    バランサーシャフト、
    可変容量?(日産のVC)エンジン
    EGR
    などなどの技術が開発され、ピストンエンジンは、
    最大の往復運動を回転運動にするロスをものともしないメカになりました。
    ロータリーもふくめて良くなればなるほど、ピストンでもよくね?という事になってしまいます。
    RX-7,8のときは、ロータリーエンジンが主役でしたからね。ライバルの少ない水素エンジンをもう一度起こしてトヨタと向こう張ったらまだ話題性があったかも。
    i3-REXに実はバイクのエンジンが載っていても「すげー」という人が割と少なかったように、ロータリーの場合売りにつなげられるのかなと思うと懐疑的になってしまいます。
    i3-REXもそういえばパッとしませんでしたね。デザインのせいなのか、レンジエクステンダ―が早すぎたのか。。。

  4. 猫まんま より:

    ロータリーに関しては確かに技術は有るでしょう、マツダしか作ってないんだし。そもそも他社はロータリーになんか興味も無いし作る気も無い、ロータリなんかに現を抜かす暇が有るなら高効率のレシプロエンジン&電動化技術に注力します。マツダのやってることは誰も居ないリングに一人で上がってシャドウボクシングやって悦に入ってるようなことです。トップが他社に出来ない技術をやるって暴走しているだけですね。マツダ信者にすら相手にされていないSkyActive-Xとかも。本当にマツダの技術が世界的に評価されているのならとっくの昔に中華メーカーとかに買収されていると思います。

    • 同感ですね。 より:

      RX-7の全盛期。ライバル車(日産やトヨタの直6ターボ)の燃費や排ガスも酷いものでしたが、ロータリーは別格扱いだったような。モーターのようにスムーズと言われてましたが、功率を犠牲にしてもスムーズさを求めるなら、これもマツダ独自だった1.6LのV6の方が良いのではと素人なりに思いました。今もそう思います。

  5. z151 サンバー愛好者 より:

    ラジコンファンとしては1/10スケールのロータリーエンジンキットとか作ってみたいですね。
    取り寄せれば30cc程度のV8とかあるんですよ。
    小指の爪くらいのピストンが(見えないけれど)ピコピコ上下しているとか考えただけで熱くなります。

    2ストにしてもロータリーエンジンにしても、最新技術で21世紀でも新車で出せるのは凄いことなのですが、競走馬の馬主になるような覚悟が必要な価格になるとちょっと手が出ません。
    2スト+インジェクションのほぼ排気煙が出ない(ユーロ5クリア?)250㏄バイクが限定販売されるというのを何かで見ましたが、お値段750万円とか。
    オイオイそりゃねーぜ、セニョリータ。
    MX-30レンジナンチャラがEVの150万円増しとかだったら同じ呟きをしてしまいそうな自分がいます。

  6. なんだよイソノ より:

    「熱効率悪い=熱源になる」という事は、夏場が大変と言う事でしょうか?
    温暖化は「プッ!」ですが、酷暑の続く最近の夏場の事を考えると、この特徴が良いのか悪いのか素人には判断が・・・
    難しい車ですね。

  7. kyamaga1330 より:

    技術力のあるマツダに期待したいけど、経営陣の考えはどうなんでしょうね。
    知り合いの子供がマツダのエンジン部門にいるんですが、応援したいけど欲しい車種が無い。
    ファミリアがバカ売れの時には、ホンダの車に乗ってましたがマツダ車の選択肢にはなかった。
    ロータリーも発電機だけでは寂しいし、本来の動力源で使えるように頑張って欲しいね。水素との相性はどうなんでしょう?

  8. naoda より:

    ロータリーの強みは省スペースで馬力が出せ事です。
    バッテリー性能を維持するするためには高度な温度管理が必要なのでエンジンの廃熱等を積極的に利用してバッテリーの温度管理に使用するなどのして総合的な効率を上げることをすれば良いと思います。

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