今後中国に於ける日本車の売れ行きはどうなるのか?

中国で日本車の売れ行きが急減している。いや、正確に言えば日本車だけでなく欧州勢やアメリカ勢、韓国勢も日本車と同じくらい落ちてます。まず理由から。最大の要因として上げたいのは中国車の完成度が上がったこと。こらもうBYDを見ればよく解る。最新のドルフィンこそ厳しいものの、ATTO3なんか中国というフィルターに掛けなければ高性能かつお買い得。中国市場だとさらに価格差が大きい。一昔前の中国車と全く違う。

二つ目に電気自動車の性能で負けていることを挙げたい。実際、中国のリン酸鉄リチウム電池は三元系リチウムを総合性能で凌ぎ、そして安価。世界一の電気自動車用電池だと言い切ってよい。三元系リチウム電池を積んだクルマじゃ勝負にならないです。そんなことから中国製のリン酸鉄リチウム電池を搭載する日欧の電気自動車も出てきたけれど、テスラを除き価格競争力無し。中国メーカーの方が安く調達している?

三つ目は中国人の国産品愛好志向だ。このあたり、日本人と似ているので気持ちは十分理解出来ることだろう。繰り返し書くけれど、あまりに中国製品の品質が酷ければ外国製品を選ぶ。されどクルマに限って言えば、私ら乗っても「価格3分の2なら中国車を選ぶでしょうね」というレベルになっている。元々「中華」というように、華の中心にあるのが中国という考え方を持つ。中国は世界一だと皆さん思っている。これ本当です。

ということで、もはや相当の魅力を持っていない限り外国製品は選ばない方向になってきた。具体的に言えば、中国じゃ作れないような精密な機械式時計やブランドもののバッグのような嗜好品くらいしか中国で評価されないということです。良品廉価な部分は中国の地場産業に持って行かれる。ということを総合して考えると、中国車に中途半端な差しか付けられない量販モデルは売れなくなると思う。日本車の大半が厳しいと考えていい。

日本に於ける輸入車のポジションをイメージしていただければいいだろう。市場の10%ということです。10%には日米欧韓全てが含まれるため、ここでの勝負と言うことになる。中国の全需を2500万台とすれば250万台。日本車、頑張って100万台といったあたりだろうか。現在トヨタが200万台。参考までに書いておくと2020年は日本車のシェアが24%もあった! 600万台です! 6分の1になることを覚悟しなくちゃならないワケ。

今年から縮小均衡策(撤退戦略と言い換えてもよい)を始めなければならないが、その道のりは厳しい。日本勢は中国政府と半々の出資で工場を作っている。日本車の売れ行き落ちたら減益を保証しなくちゃならない。それだと赤字垂れ流しになるため、工場を居抜きで譲渡することになるだろう。譲渡された途端、中国車の工場に。安価な電池を仕入れ、日本車と同じ品質を持ちながら価格競争力のあるクルマを売る。これも日本車の強敵だ。

もっと怖いのが次のステップ。中国との関係が良好な国に進出することは間違いない。そこで日本車と競合する。安価な電池を持ち込まれたら勝てないでしょう。おそらくそんな状況まで10年といった時間軸です。まるで家電だ。そうならないようにするには、例えばトヨタが始めたような「新しい価値観の自動車を作る」くらいの革新を行わなければならない。もしくは圧倒的な魅力や性能を持つクルマを作ること。それが出来なければ撤退しかあるまい。

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2 Responses to “今後中国に於ける日本車の売れ行きはどうなるのか?”

  1. 憂士 より:

    タイにはもう進出しており、ATTO3が爆売れしてます

  2. S.Kobayash より:

    トヨタ以外日産、本田も 中国はもとより 北米でも生き残れないんではないかと 危惧しています。 1) EV のスタートダッシュが 3年遅かった。2) 日産 ホンダも プレミアム ブランドの構築が失敗した。 プレミアムなら 中国でも生き残れる。3) 日産も ホンダも 大衆 ブランドなのに 値段を吊り上げて そこそこ 利益を出している。 意外に トヨタとスズキがこれから健闘するんじゃないかな。 日本の自動車産業 何とか生き残ってほしい。

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