本来ならモノ作りを得意とする我が国にとって円安は強烈な追い風なのに輸出する製品ほとんど無し

1ドル=145円。1ユーロ=158円という為替レート、本来ならモノ作りを得意とする我が国にとってパラダイスのような状況だと思う。日本の製品、1ドル=90円。1ユーロ=120円でも輸出して利益を出せる生産コストになっている。今の為替レートだと笑いが止まらないハズ。しかし残念なことに7月も貿易赤字となってしまった。日本から輸出するモノが無いということです。

自動車産業を見ればよ~く解る。日本から完成車を輸出可能な国ってアメリカと欧州くらいしかない。されどアメリカは政治のチカラにより売れ筋モデルを全て現地生産することになった。数少ない日本から輸出しているモデルは、フェアレディZに代表されるように生産台数が極めて少ない。それでもアメリカには自動車を輸出可能なため日本の膨大な黒字部門になってます。

欧州も売れ筋モデルは現地生産させられている。販売台数を伸ばしている電気自動車についちゃ日本勢が出遅れており、ホンダeもMX-30EVも輸出したって売れない。自動車産業のオウンゴール気味ですね。2輪部門は輸出すれば大きな利益を上げられるものの、日本での生産台数を大幅に絞っており、ニーズあったって作りきれないです。売れ筋モデルについちゃ海外生産だし。

自動車以外の産業も似たり寄ったり。白物家電は海外に生産拠点を移していて、直近だと韓国や中国との競争に負けてジリ貧。日本の製造業が海外に逃げ出したのは全て政府の外交的な敗北だ。政治家にとって大票田である農業を守るため、製造業を全て海外に追い出す政策を取った。これだけ輸出にとって有利な為替レートになったのに輸出する工業製品がありません。

じゃ今から生産体制を作るかとなれば、これまた外交が弱いため急激な円高になるリスクを抱えなくちゃならない。1ドル=90円とか1ユーロ=120円になったら、せっかく立ち上げた生産体制をフル稼働出来なくなってしまう。企業としちゃリスクヘッジする。第二次世界大戦直前も今も日本の外交力は極めて厳しい。能力のある企業は海外に逃げ出すという選択をせざるを得まい。

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6 Responses to “本来ならモノ作りを得意とする我が国にとって円安は強烈な追い風なのに輸出する製品ほとんど無し”

  1. 二級人 より:

    外交力が弱いことに関連して外務省の予算は7000億円です。これに対して防衛省予算は7兆円。これではろくな外交はできないでしょう。実態も外務大臣は防衛省の下請け。日本の理念からすると全く逆転している。反撃能力 、防衛装備品移転にじゃぶじゃぶ予算を使っても重厚長大企業を助けるだけで日本経済は貧しくなる一方です。
    株式も外資に握られていて身動きが取れない。
    先手必勝とばかりに戦争ゲームを始めようとするご老人がいる。先の戦争を反省すれば戦争を政治問題の解決手段として使ってはいけないはず。
    為政者、官僚はワシントンと東京しか見ていない 。下々の者は目に入っていない。全く逆立ちしている。

    • けん より:

      ちと勘違い甚だしいので一言。 
      外交力が弱いのは予算のせいでは有りません!
      日本人なら誰でも知ってると思ってました。

      外務省は二十年くらい前まで「世襲官僚」でした。調べたら解ります。
      国家公務員試験受けないでも縁故採用だったのです。
      そりゃあ、外交力なんて育つ訳がない。

      つぎに外務省内ではチャイナスクール(中国派)が幅を利かせていたこと。
      そりゃあ、奴らは最初からアメリカと外交する気なんてなかったんです。

      繰り返しますが、防衛省の予算と比べてますが関係ないすよ。

      外務省に関して勉強なさってくれると嬉しいです

  2. 魑魅魍魎 より:

    海外での現地生産が進むと、国内産業が空洞化する。まさに今がその状態。ただ円安になると、海外での収入が円建てで膨らむから、日本企業の収益は増大する。何が良くて、何が悪いのかわからないが、日本の弱体化が進んでいることは、間違いない。

  3. 暇人 より:

    製造後が人件費の安い中国や東南アジアに流出が始まったのは1980年台後半からでずっと継続しています。人件費にある程度差がある状況が改善するまで厳しいですが、最近は政治的な不安定さから、半導体を皮切りに日本に回帰する動きもみられます。何れにしてもIT戦争でアメリカに負けたのは痛いです。

  4. トヨタ車ユーザー より:

    今年に入ってからは、トヨタもホンダも頑張っているのですが、儲けをすんなり持ってこられない中国に力を入れていたので難しいところです。
    円高で苦しんだリーマンショックからひと回りは経つのですね。10年経てば企業の方針や体質は良くも悪くも変わります。あのときからせっせと工場の海外移転をしてしまったため「いま国内には無い」のはある意味当然の事。
    まずは中国から工場を引き上げるんでしょうね。

  5. 反日非国民 より:

    今の日本に外交なんて存在しませんよ。
    米国の保護国であり、「米軍列島」なんですから(笑)
    ドイツのメルケルは16年間の首相在任中に、訪日はたったの一回だけ。
    それもサミット議長国で、全参加国を事前に回るために打ち合わせで来ただけ。
    他方、中国には12回も公式訪問して強力な経済関係を築き、共に欧州とアジアの経済リーダーの地位を不動のものにした。
    日本の国際的な地位の低下は、日本人以外にはよくわかっている事なんですよ❗
    残念ですけどね。

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