トヨタのル・マン参戦、ライバルがいる戦いの勝利に届かず

若いクルマ好きはあまり興味を持たないようだけれど、グループCカーで戦った1990年前後を知っている世代からすればル・マンは大いに気になるイベントである。圧倒的な強さを誇ったポルシェ956やベンツC11、ジャガーにチャレンジした日産やトヨタ、マツダを応援したものです。日産は1990年にR90CKでポールを奪取! 翌年マツダが787Bで優勝する。

1990年前後のル・マンは何度も見に行き、R90CKのポールも、どこを走っていても音で解る4ローターの787Bも存分に楽しんだ--いや取材した。日本車初のポールで大いに盛り上がり、787Bが優勝した時は最後までフルスロットルで攻めまくっていた姿をコーナーで見ていて「優勝するクルマってこうじゃなきゃ!」と泣けたことを昨日のことのように思い出す。

そんな中、粘り強くル・マンに参戦しているトヨタながら、1990年前後のル・マン人気の際、日産やマツダより地味な存在だった。トヨタは日本人メディアに対して門を閉ざしており、当時の記事を見ても主役は日産であり、トヨタについての露出って多くなかった。取材出来ないんだから当然かもしれません。モリゾウ時代の前の「閉ざされたトヨタ」です。

現在のチームも基本はモリゾウさんの前の世代が作っている。今年のル・マンのプレスリリースを見ると「TOYOTA GAZOO Racingは6度目の勝利を目指しました」とある。多くの人が知っている通り5回はライバル無し。総合優勝ながらそのクラスにはトヨタしかいない。走りきれば優勝である。この表現、リリースの書き手がチームに忖度したんだと思う。

モリゾウさんが立ち上げたWRCのチームとずいぶん違う。というかル・マンのチームを見ると「モリゾウさんっぽくないですね」と感じます。ということで6度目の優勝を狙った今年だけれど、絶対的な速さが足りなかった。BoP(性能調整)は上の通りで、フェラーリより11kg重いが5kWパワフル。パワーウイエイトレシオはフェラーリと同等。ポルシェより有利である。

もしフェラーリやポルシェが三味線を弾いていたとしたって同じ条件。もちろんトヨタからすれば不満あると思う。というか主催者もこんな微妙なBoPならやめちゃえばいいのに! それでも強ければノートラブルで走りきり、表彰台圏内を目指せたろうが、メカニカルトラブルで20分を失ってしまった。意外にもフェラーリって信頼性高いのね(笑)。

なんだかんだ書いたけれどル・マンの熱烈なファンからすればトヨタに勝って貰いたいと強く強く思っている。出来れば956や962、C11みたいな横綱相撲をして欲しい。それには横綱っぽくなってくれなくちゃ。少なくとも「6度目の優勝を狙う」というル・マン好きから「それなに?」と思える表現(というかホンキでそう考えている?)はやめるべきだ。

来年こそ優勝を目指して頑張って欲しい。

<おすすめ記事>

2 Responses to “トヨタのル・マン参戦、ライバルがいる戦いの勝利に届かず”

  1. KUMA より:

    フェラーリは今回の勝利で黄金期に入ってきたなと感じています。トヨタは、ライバル不在で腑抜けてしまって、相次ぐ規定変更とBoPでしらけてしまっている感がありますね。
    それよりもポルシェの不甲斐ないさをどうにかしてほしいですね。ルマン100回大会までは現行の車両規定が続くとのことですが、そこそこのお値段でBoPの おこぼれもらえるLMDhより、LMHで真っ向勝負してほしいです。

  2. より:

    ルマンが大きく取り上げられないようになって久しいですが、F1と比べたら技術の差が大きすぎるし、観客の熱狂度ではインディ500の足元にも及ばないのだから仕方ないと思います。
    それと今の若い人はクルマにあまり興味がないのだから、モータースポーツ熱が低いのも仕方がないことかもしれません。
    モータースポーツで技術革新が進むと言わらてましたが、コンピュータ上で開発が進むようになったのだから、これも必然かもしれません。
    寂しいことではあるのですが、仕方ないことだと思ってます。

コメントを残す

このページの先頭へ