自動ブレーキの体験を公道で行ったなら大問題です

千葉県でプロパイロット付きの日産セレナが追突事故を起こした。報道を見ると”自動運転”の入り口であるアダプティブクルーズコントロールの不具合か、それとも”安全装備”である自動ブレーキの不具合か、全く解らない。NHKですら混同してしまっている。さらに怪しいのは国交省のリリース。

内容を見ると「プロパイロットシステムを使用した走行中に」とある。プロパイロットの機能は、日産も宣伝している通り自動運転である。先行車追随クルーズコントロールと、ステアリングコントロール(10km/h以下は連続。11km/h以上は時間制限付き)を組み合わせ、運転のアシストをしてくれるというもの。

国交省の「追突事故」についてのリリース

つまりアダプティブクルーズコントロールが稼働しているという状況。先行車に迫っても速度落ちないのならクルーズコントロール機能の失陥だ。ただクルーズコントロールであれば、相当手前の段階で速度が落ち始めなければならない。この機能を使っており、かつ稼働しなければ必ずブレーキを踏みたくなる。

プロパイロットの体験試乗であれば、減速を開始しなかった段階で「ブレーキ踏んでください」となり、そして余裕を持って減速出来ることだろう。この時点で日産の営業マンが「ブレーキを踏まないでください」と言ったなら、驚くほど無知な指示だと思う。というか考えられない。

一方、自動ブレーキはプロパイロットの機能でなく、近年広く採用されている安全装備だ。自動ブレーキの介入は、追突ギリギリのタイミングで行われる。もし営業マンが公道で、しかも他人の車両を相手に自動ブレーキを体験させようとしたのなら、とんでもない話だと思う。

実車を相手に緊急避難として使われている自動ブレーキの体験をさせることなど聞いたこと無いし、危険きわまりない。専門家ですら絶対やらない。事故を起こす可能性が高いからだ。国交省のリリースやNHKの報道を見ると「自動運転を過信した」ということになっているけれど、2つの機能は全く違う。

ちなみにプロパイロットが減速を開始しなくても、本来なら自動ブレーキで止まれたと思う。止まれなかった理由を明確にせず、単に自動運転の危険性だけアピールしている点も全く理解出来ない。仮に自動ブレーキが稼働しなかったなら、別の意味で大きな問題だと考える。

いずれにしろこの事故によりハンドルを握っていたドライバーが『過失運転致傷容疑』で書類送検されたのは全く理解出来ない。こんな状況の中、国交省は完全自動運転を目指すという。<さらに違う視線からのレポートはコチラから>

 

 

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