2022年は満タンで57kmしか走れなかった水素エンジン車が4年で180kmも走れるようになった!

今年のS耐富士戦でいくつかの技術発表があったのだけれど、一番の「凄いね!」は水素エンジンカローラの航続可能距離だった。水素は燃料電池で反応させてもピストンエンジンで燃やしても排出するのは水だけ。カーボンニュートラルである。ただ水素って極めてエネルギー密度低い。ガソリンなら100Lだと75kgある(水なら100kg)。エネルギーが75kg分あると考えていい。

水素って100Lで7kg(=エネルギー量)しかない。同じ距離を走れる水素を液体の状態で積むとしたら10倍の容積を持つタンクが必要。そんなことからMIRAIで使っていた圧縮水素を使った参戦当初はカローラの空間フルに使ってタンク4本積んだのに12周(57km)しか走れなかった。上の写真の一番左ですね。2021年のレースは24時間で358周だった。翌年、水素充填速度を上げ、478周に。

2023年から水素を液体で搭載するようなる。水素って70MPa(690気圧)の気体で搭載するのと、液体で搭載するのでは20%くらい違う。さらにタンクそもののの”厚さ”など減らせるため効率良くなり、20周(90km)走れるようになった。レースは途中でトラブル出たため358周に留まる。2023年まで安全上、丸いタンクしか認可されなかったが2024年より楕円形状でOKになる。

2023年から水素を液体で搭載

するとタンク容量220Lに増え、航続距離30周に(136km)。そして今年はタンクの上部にあるポンプ(構造上ここに付けなければならない)の駆動を超伝導モーターに変更。-253度の液体水素は超伝導現象が起こる絶対零度(-273度)に限りなく近い。液体水素の中にモーターを浸ければ小さいモーターで強いパワーを出せるのだった。結果、タンク容積を300Lまで拡大出来た。

満タン航続距離は40周(180km)に。一方、極低温でギア付きポンプを稼働させる上での技術的課題(ギア素材が極低温に持たず異常消耗するなど)を解消出来ず、トラブル防止のため途中で3時間半掛けて水素タンクを交換。それでもトータル483周と着実に距離を伸ばした。現在進行形でポンプ駆動をギア無しのリニアモーターを開発中。来年は3時間半分も走って565周になる?

水素タンク容量をもう少し増やし(重量は液体水素300Lで24kgくらいしかない)、航続距離をキープしたままパワーアップさせていくことで速さを磨くとエンジン車とガチで競えるようになる。4年前まで12周しか走れなかった水素エンジン車が今や40周! そして性能向上も見えてきた。これほど大きい技術的な進化はモータースポーツでしか実現出来ないと思う。

ガソリンエンジン車ならリッター2km台のレースで180km走れると言うことは、普通の交通環境だったら余裕で1000km以上の航続距離を持つ。実際、今年走った水素エンジンカローラでWLTCモードの燃費なんか計ってみたら興味深い。強化クラッチにつきSTOP&GOが厳しい場合、100km/hの巡航燃費だっていい。このあたりで実用車にも使えそうなデータを出したら面白いです。

 

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