プリウスの実力

おそらくライバルメーカー達は新型プリウスをすでに入手。走行評価の後、全てバラして構造の入念なチェックに入っていると思う。自動車メディアも燃費計測に始まり、動力性能やハンドリングの評価を行い始めている。各社&各誌の話を聞くと、皆さん相当驚いている模様。予想外の実力を持っているからだ。

例えば足回り。私もジャッキアップして驚いたのだけれど、いろんな場所にアルミのパーツが採用されている(オーリスと共通)。お金掛かってるのだ。先代と比べてもリアのブレーキをディスクにグレードアップしているなど、コストダウンしている要素はゼロに近い。ライバルからすれば「こんな価格で売れるワケな
い」という結論かと。

性能も素晴らしい! 特に高速域の追い越し性能は2、4リッター車を凌ぐほど。
0〜400m加速で18秒を切る。姿勢制御措置VSCを上手に使ったハンドリングも文句無し。一通りチェックしてみたが、ECOタイヤを履いているとは思えないくらいよく曲がり、よく止まる。かくしてライバルメーカーは強烈な危機感を得たと思う。

なかでも
「こら気合い入れなくちゃアカン!」と盛り上がっているのがホンダじゃなかろう。渾身のチカラを込めたインサイトとプリウスを比べれば、エンジニアなら
「皆まで言うな」。本日、伊東新社長のメディア懇が行われる。そこでどんなコメントを出すか大いに楽しみ。聞けば伊東新体制になって、早くも変わり始めたのだという。

ホンダで考えられる対応策は三つ。1)まずコストダウン。これまでも徹底的なコスト削減を行っていた
トヨタや日産に対し、ホンダとスバルは比較的緩かった。そこまで真剣に対応しなくても利益を上げられてきたからだ。ここにきてバッテリー購買政策の変更やインド製の鋼板の採用を検討するなど、抜本的な対策を始めた模様。

2)続いて本物のハイブリッドの展開。もはや小さいモーター+小容量バッテリー使うマイルドハイブリッドの将来性は厳しい。ホンダのエンジニアだって解っていたろうけれど、なぜか本物のハイブリッドへ足を踏み出せなかった。この「自主的なリミッター」を伊東新体制はカット出来ただろうか? ホンダも全車種にハイブリッドを展開か?

3)そして軽自動車より安価な世界戦略モデルの開発だ。インド製の鋼板の採用を検討していることと密接な関係があるんだと思う。50万円台でタタ・ナノより少
し大きいモデルをラインナップできたなら、世界規模でマーケットがある。このジャンル、日産とスズキも開発を進めている(マツダも参入を検討中らしい)。

あと1年もすれば、各社からワクワクするようなニュースがたくさん飛び出してくると予想します。いろんな意味でプリウスの影響力たるや大きい。

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2 Responses to “プリウスの実力”

  1. Ito より:

    プリウスのすごさはテクノロジーではなく、トヨタが持つ生産技術だと思います。
    そもそも私は日本車がアメ車よりも特段に優れているとは思いません。
    プリウス並の燃費を持つ車は他のメーカーにもなんとか作れるでしょう。
    しかし、発売にこぎ着け、あの価格と品質を実現させたのは、トヨタ方式の成果です。プリウスの技術を見ると先代と比較して取り立てて新しいテクノロジーは使われていません。
    生産効率を上げてコストダウンを進めてきたから、少しばかり高い装置を載せても商売になりますし、現場が新規のテクノロジーを受け入れ、狙った性能と価格を実現できたことが大きかったのではないでしょうか。
    外注でハイブリッドシステムを作っていたらまずあの価格は無理です。いち早く自社生産体制を整えられたことが大きかったはずです。
    研究室レベルから、商品になるまでの行程は発明や開発の何倍もの労力が必要です。もっと日本の生産技術の高さを見直すべきだと思います。日本メーカーは技術力が高いから、ビッグ3にテクノロジーを売ればいい、というのはなんか違う気がします。

  2. 天邪鬼 より:

    親分の褒める所は褒める、叱咤すべきはより努力を促す姿勢。
    又、良い出来だ、素晴らしいと褒めちぎっておきながらその国産車には目もくれず、某ドイツ車に大枚叩いて悦に入っているエゴ評論家達と違い、いち早く自費購入してインプレッションを届ける。そんな真摯な親分を尊敬いたします。
    何とかマガジンXなる雑誌の覆面者たちの新車評論でプリウスは星三つでした。相変わらずの言いたい放題でした。(すでに親分は目を通されたやも・・。)
    値上げで親分の評価がいまいちのゴルフはお約束通り星五つでした。
    最近のカー雑誌の傾向なのか、CG、MM、Lボラン、MF誌等々、判で押したように外車(特にドイツ車御三家)崇拝、礼賛の雨あられ。
    御三家は何ページにも渡って特集を組み、微に入り細に入りこれでもかと解説。ご丁寧にあちらのメーカー配布だろう透視図、エンジン、車体カット図等ふんだんに惜しげもなくページを割く。
    まるで100年待ってた恋人に会えたかのごとく狂喜乱舞、擦り寄り頬ずりし、褒め称える、随喜の涙して最後にノックアウトされました、と締めくくる。毎号々飽きもせず延々とやっている。
    あおりを食って国産車はうんと後ろの、どこかな?と探さなくてはならないような僅か2〜3ページ、もあればラッキー!ひどいときは1ページ。で、「よく出来てはいるが味がね・・、もう一味。やはり欧州車には・・・。」(何の味じゃい、かつおだしか?)
    この傾向は何とかならないものでしょうか?
    何故もう少し消費者目線での評論は出来ないのでしょうか?何百万台国産車が売れて外車は何十万台でしょ。 それほど彼らの言うほど国産車がペケで ドイツ車が最高!パーフェクトでしょうか?
    走るのは日本国内ですヨ。
    親分のプリウスの評価、予想外の実力、性能も素晴らしい、こんな価格で・・・、等、何故彼らは口に出来ないのでしょうか?
    毎日ハイゼットを転がしてても、運転が楽しい私は広い世界が展望できない蛙なんでしょうかねエ。
    最後に、「欧州車は素晴らしい、それに比べて味のないトヨタは・・。」という一派と「インサイトは楽しい、でもプリウスは・・。」という人達が重なって見えるのは私だけですか?

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