ホンダの三部新社長の記者会見、クルマの楽しさについて全く触れなかった点が残念です

クルマ作りのテーマは「明るさの追求」と「ネガティブ減らし」である。明るさの代表を挙げると、1)走る楽しさ。2)移動する本能的な喜び。3)デザイン。4)ブランドイメージ。5)快適な居住空間などなど。ネガ面の代表を挙げれば、1)安全&事故。2)環境負荷。3)車両価格や燃料代に代表される出費。4)退屈な運転。5)メカニカルトラブル(耐久性を含む)といったあたりかと。

クルマを趣味と考えるなら、明るさが多いモデルを選ぶことだろう。クルマを移動の道具だと考えたら、ベーシカルなサイズで十分ですからね。明るさの多いモデルほど高い価格で売れる収益性の高い商品ということになります。はたまたクルマを実用品と考えた場合、ネガ面が負担にならず、安くて壊れず燃費良いモデルが良いと言うことになる。高い価格じゃ売れない。

電気自動車や環境対応車の売れ行きが伸び悩むのは、ネガ面の対応ばかりアピールするからに他ならない。新型MIRAI、とっても良いクルマだ。静かで超快適。追い越し加速の素晴らしさや、優れたハンドリングなど明るい方向の良さをたくさん持っている。水素ステーションの少なさというネガ面も持っているけれど、どんな良いクルマにだって弱点はたくさんある。

ロールスロイスは私ですら感心ばかりする素晴らしいクルマながら、近所の買い物には向かない。フェラーリ・カルフォルニアだって魅力的だけれど、これまたコストコやIKEAでたくさん買い物しようとしたら厳しい。でもロールスロイスの使い勝手や、フェラーリの積載能力に不満を言う人なんかいないでしょう。その他、人気あるクルマだってカンペキじゃないです。

「ネガ面を低減させます」という対応をアピールする自動運転も環境対応車と根っ子は同じ。ここに来てレベル3やハンズフリーに代表される1)と4)のネガ面をカバーする技術が出てきているけれど、クルマ好き=高額のクルマを買う層の関心は薄い。ネガ面の改良をアピールしたってクルマは売れないです。なぜ最近の日本車ってネガ対策のアピールばかりになってしまったんだろう?

ホンダの三部新社長の記者会見を聞いていて感じたのは「明るさ」について何も語らなかったこと。ネガ面の対応に終始しました。豊田章男さんの発言をみていると「どうやったらクルマの楽しさを環境の時代になっても残せるだろうか」という気持ちを常に感じる。私が豊田章男さんに共感するのは、常にクルマ好きの気持ちが根底にあるからです。三部さんにも楽しさを語って欲しい。

三部さんの記者会見です。私は環境対応って”掃除”や”義務”だと考えている。「掃除を頑張ります」とか「税金をキッチリ払います!」と言ってもワクワクしない。新しいモノを作る方が楽しいし、税金払うより良いモノを売って給料上げようという話の方がパワーも沸いてくると思います。楽しいクルマ作りや、モータースポーツの話を三部さんから聞きたいと思うのは私だけじゃないと思う。

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