軽井沢のスキーバス事故、バスを製造した三菱ふそうが分解し「ニュートラルだった」と証言

軽井沢バス事故の裁判が続いている。17日の公判で事故の捜査に当たった警察官は「バスの運転で適切な操作がされていなかった」と証言したという。根拠として上げたのは「事故時のギアがニュートラルだったから」ということらしい。同日、事故車両を作った三菱ふそう・バスの社員も出廷。事故後にバスを分解するとニューラルだったと証言している。

そして「危険な状態になるので下り坂でニュートラルに入れることはあり得ない」と言ったらしい。この事故捜査、最初からデタラメなのだけれど、その酷さが17日の公判に象徴されます。バス事故が車両トラブルによって発生した可能性もあるのに、捜査当局はよりによって三菱ふそうに分解を依頼している。三菱ふそう側としちゃ車両トラブルを原因にしたくない。

そもそも事故時にニュートラルだったとしても技量未熟ということにならない。事故の状況を見ると、暴走が始まったのは峠を越えた直後。43.6kmポスト付近は安全運転だ。それが900m先の44.5kmポストでアンダー出すくらいまで速度出ている。どんなドライバーだってこんなスピードでコーナー曲がろうとしない。ドライバーの意識か無くなっているかとなれば、明確に「違う」。

下の動画を見て頂きたい。登り坂から下り坂になった直後だ。左コーナーでなんとかコントロールしているし、次で右にも曲がっている。ブレーキを使いすぎてフェードしたことも考えられない。下り初めてたった900m時点で暴走が始まっている。おそらく下り始めてブレーキを掛けたら効かなかったということだと思う。なぜニュートラルだったか?

下り坂でブレーキ効かなかったら、まずエンジンブレーキを考える。下り坂のため4速か5速だったろう。1段ギア下げるには、クラッチ踏んでニュートラルにして下のギアを選ぶ。事故を起こしたバスは「FCTM」(シフトバイワイヤ。フィンガーシフトとも呼ばれる)のため、オーバーレブ防止装置が付いており、速度高すぎたら下のギアを選んでもシフトを受け付けない。

三菱ふそうの社員なら当然ながらそのことを知っている。なのに一切説明しないばかりか「下り坂でニュートラルはあり得ない」とまで言っている。メディアも警察も検察もすべてドライバーの熟練不足としており、なかには「ハンドルだけでカーブを曲がろうとした」というド素人ですらやらないような運転をしたと推測する人まで出てきた。

事故原因はエアドライヤーのトラブルによりエアタンク内の水が凍結しブレーキが全く効かなかったことだろう。ここまで読んで「登り坂の最後でブレーキの試し踏みするべき」とか「出発時にエアタンクの水抜きをしたか」という論点になるなら十分理解出来る。エアドライヤーのトラブルであれば、事故防止策を打てると思う。「ヘタだったから」なら、免許制度を変えるべきだし。

三菱ふそう、警察からの依頼を「自社の車両だから」と断るべきだったと思う。当時、事故を検証し10本近い記事をYahooニュースに上げたけれど、全て削除されてしまっているのが残念でならない。この事故、死人に口なしで終わってしまう可能性が高い。古今東西、国家権力に立ち向かっても勝てないです。巻き込まれないようにするのが唯一の方法だ。

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One Response to “軽井沢のスキーバス事故、バスを製造した三菱ふそうが分解し「ニュートラルだった」と証言”

  1. やっぴぃ より:

    このドライバー、個人所有はMT車ですし、オーバースピードのまま頑張って耐えようとしています。

    機械式MT車なら、エンジンブローさせてでも転覆は防げたと思います。

    クラッチ使って、オーバーレブによるブローも回避できたかもしれません。

    安易にドライバーの技量不足という結論で片付けるのは、三菱の偽装・隠蔽体質を再び助長するだけだと思います。

    きちんと捜査して、ドライバーの名誉を回復すべてです。

    三菱と日野の統合が行われるようですが、偽装・隠蔽体質の2社が統合することで、今後どうなるのでしょう?

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