松下宏の食べ歩き/埼玉県蓮田・老舗「魚庄」で満足度の高い大鰻丼

蓮田市の国道122号線から少し入った立地にある老舗うなぎ店「魚庄」に行きました。例によって青木英夫先輩推奨店のひとつです。創業が明治16年ということですから、今年でちょうど140年の歴史を持ちます。店に着くと立派な構えの建物であると同時に、広くて停めやすい駐車場がありました。

店内は奥のほうに座席などがあるのでしょうが、私のような振りの客が座る入り口近くのテーブル席の数はあまり多くはない印象でした。夕食の時間帯でしたが、それほど込んではいないのですんなり入れました。

この店のメニューはちょっと変わっていて、鰻重が並、上、特と来た後、鰻丼、大鰻丼という順に値段が上がっていきます。大鰻丼(5200円)を注文すると、大きなうなぎが入る日と入らない日があるようで、『あるかどうか確認します』と一旦引き取った上で『あります』ということで注文できました。

そのやりとりの中でこれからうなぎを捌くことが分かったので、大鰻丼の仕上がりを待つ間に肝焼きを食べようと思いましたが、こちらは『本日売り切れです』とのことでした。青木さんの話ではおいしくてコスパの高い肝焼きということだったのでやや残念です。代わりに焼き鳥(660円)を注文しました。20分ほどして最初に出てきた焼き鳥はなかなか迫力のあるものでした。

写真ではその大きさが分かりにくいかも知れませんが、ボリューム十分の焼き鳥が3本です。焼き具合もなかなか良くて、鶏肉にしっかり火が通っているのにネギの焦げ目はさほどではありません。炭火との距離を保ってていねいに焼いたのが分かる焼き加減です。タレの味が濃すぎることもなく、おいしい焼き鳥を食べることができました。

さらに20分ほどして登場したのが大迫力の大鰻丼です。実に大きくて立派な漆器の丼に驚かされました。蓋を開けると、少し軽めでと頼んだご飯の上に大きなうなぎが乗っています。それも全く焦げ目のないていねいな焼き方です。

肉厚のうなぎは食べ応えも上々。タレの味はやや甘さが強めながら、塩気はさほどではないのでそれほど濃すぎるとは思わなかったのですが、食後には喉が渇いたのでそれなりの濃さだったのでしょう。でもおいしさのほうが優先で全然気になりませんでした。ご飯は柔らかすぎることはなく、適度な硬さでした。肝吸いの塩加減も程よいものでした。久々に満足度の高いうなぎを食べたと思います。

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One Response to “松下宏の食べ歩き/埼玉県蓮田・老舗「魚庄」で満足度の高い大鰻丼”

  1. z151 サンバー愛好者 より:

    ちゃんとしたうなぎ屋さん少なくなりました。
    時代なのかファーストフードがマジョリティな現代、鰻は逆に調理に時間が掛かります。
    注文が入ってから調理を始める店なら小一時間。
    混んでいたらそれ以上です。
    今の気が短い人なら帰ってしまうかも。
    冷奴や酢の物(うざくという手もあります)で冷たいのをやりながら、泰然自若の姿勢でじっくりと待つくらいで丁度いい、と人生の先輩から教わりました。

    ある和食店の大将にお話を伺った時、和食の素晴らしさは切っ付けや盛り付けの美しさ等華やかな部分もあるが、その美味しさを支えるのは究極でいえば火加減なのだそう。
    ご飯や煮物を炊くのも、揚げ物をするのも皆火を操るのだけれど、料理が上手な人はここに一本芯が通っているそうです。
    中でも一番基本的で一番難しいのが「焼き」。
    焦がさず、表面はパリッとさせながら中身はふっくらと焼き上げるのが「一生修行」なのだとか。
    「まあ一言で言やぁ遠火の強火なんですけどね。簡単にはいかないですねぇ」

    ちょっとクルマの運転にも通じる話に感じて聴いていました。

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