日産式回生ブレーキ

日産がフーガのハイブリッドに採用するという『電動制御ブレーキ』を発表した。なぜ日産は言わないのか不思議だけれど、同じタイプのブレーキを電気自動車のリーフにも採用している。このブレーキ、現時点でライバルを圧倒しているトヨタのコンビネーションブレーキと同等以上の回生性能を持ってます。

ご存じの通りホンダのハイブリッドや
i-MiEV、そしてVWを除く大半の電気自動車やハイブリッド車は、効率の良い回生制動を行えていない。モーター使うモビリティは回生制動こそ最も大切な技術なのに‥‥。イチから説明すると膨大な文章量になるため、以下、回生制動が解っているとして紹介する。

現状を見ると、ホンダすら走行エネルギーの大半を回収出来ていない。i-MiEVやテスラ、ミニの電気自動車に至っちゃブレーキ踏んでも回生しないという手作り電気自動車のような技術レベルだったりして。実際、ブレーキペダルの踏力に応じて回生の量をリニアに変化させるのは相当難しい技術なのだ。

さらに回生可能な電力量を超えた場合、油圧ブレーキを併用しなければならないけれど、回生と油圧の協調がまた難しい。さらにABSの稼働など瞬時に回生から油圧に切り替えないとダメなケースだってある。こういった知識、自動車ジャーナリストも持っていないためプリウスの時は誰も解説できず。

トヨタの場合、大雑把に言えばペダルの踏力を感知し、まずフルに回生制動を掛ける。回生できる電力量(プリウスのバッテリーだと20kW程度まで)を超えた分は油圧で補
う。回生出来る電力量はバッテリー性能で決まると考えていい。例えば『プラグインステラ』だと最大で44,4kWだという。

日産のバッテリーは一段と高い性能を持っているため、リーフの搭載量なら50kW以上を回生可能だと思われる。これ、ど
のくらいの効率かと言えば、街中の速度域なら緩いブレーキを踏んだら全て回生出来てしまうレベル。ニッケル水素バッテリーじゃ到底不可能な回生制動能力だと考えていい。

そのコントロールを行うのが電動制御ブレーキというシステムである。ボールネジを使うことと、リーフは最大0,2G程度までの回生制動能力を持たせるということを昨年紹介した。今回も簡単な概念図が追加されたのみで、それ以上の情報は出てきておらず。そう遠くないウチ、詳細を紹介できると思う。

長い文章になった。日産の電気自動車/ハイブリッドはトヨタ並の回生/油圧協調ブレーキ性能を持つ(いや、バッテリーの性能が高いため現時点ではトヨタを圧倒する効率)ということを理解して頂ければ、今日のTOPの目的が果たせます。付け加えておくと、ブレーキフィールは極めて自然です。

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8 Responses to “日産式回生ブレーキ”

  1. かず より:

    こんばんは。
    なるほどそういう事なんですね。
    電動型ブレーキシステム、日産もなかなかですね。
    これで広報がもっと良かったら…というところでしょうか。(^_^;)
    質問みたいですみません、この間の山梨であったトヨタの試乗会はいかがでしたか?
    専務さんの発言が、新聞に踊ってましたね。
    モータースポーツは、
    やって欲しいものです。

  2. ゲイン より:

    フーガハイブリッドですか?今の所は後ろ姿の画像だけでイメージつかめませんけど
    日産のフラッグシップとしてトヨタのFRベースのハイブリッド陣に勝負に出たという所でしょうか?
    国沢さんの情報みると魅力的じゃないですか。まあ買えませんし(笑)試乗もしませんから国沢さん
    がレビューされるのを楽みにさせて貰います。
    まあこのクラスのハイブリッドは利幅も大きいですし、購入層には予算的制限なんてないと思いますから
    変な安売りをせず、予算を掛けるだけ掛けて性能でトヨタFRのHV勢を圧倒する車として販売して
    技術の日産を示して欲しいですね。
    そしていずれは魅力的な普及グレードのPHVやHVを販売して欲しいです。結局どのメーカーも
    HV PHV EVを同時に普及させる流れじゃないでしょうか。
    でもそうすると使える電池の技術はいくらあっても良いと思います。

  3. ぱんだねこ より:

    こんばんは。
    結局は、いまのEVやPHVはバッテリーありき、なのですね・・・。よくバッテリーの性能に見込みがついたので今日のEVブームが、という話を聞きますが、動力性能も改正性能もバッテリーによるところが大きいということがわかりました。
    フーガハイブリッドには電動油圧パワステがついていますので、こちらもどんなモンだか興味が出てきます。

  4. アミーゴ5号 より:

    回生能力は電費と同じくらい重要な性能だと思います。仕様諸元には載らないのでしょうか?

  5. ドン より:

    トヨタがハイブリッド車を販売しながら、
    改良を重ねて進化させてきたのに対して、
    日産はこのタイミングに合わせて水面下で、
    着実に研究を行っていたのですね。
    評論家の多くは、日産は環境技術でトヨタ、ホンダに相当引き離されている
    と考えている人も多いようですが、そうとは思えなくなってきました。
    トヨタはもう次の一手を持っているでしょうから、
    2年後くらいにはまた驚くような技術が出てくるでしょう。
    とりあえず時代を先行してますみたいなイメージの競争ではなく、
    こういった本物の技術の競争がさらに良い技術を生んでいくんでしょうね。

  6. トマト より:

    電動回生ブレーキと油圧機械ブレーキは無理して協調する必要ないと思います。アクセルペダルを廃止して、スロットレバーにする。レバーを押し込むとアクセル、手前に引くと回生ブレーキ、その中間は慣性走行。機械式油圧ブレーキは従来とおりペダル。足ペダルで急ブレーキ掛けるとスロットルレバーが戻ってアクセルオフ。通常の減速停車はスロットルレバーを引いて減速。最終停車だけ足ペダルブレーキ。この方式のメリットはアクセルとブレーキの踏み間違いなくなることと、複雑な協調回生メカがいらないこと、ドライバーに停車スキルを学習して回生で電費向上できること。めんどくさい人は足ペダルだけなので電費があまりよくない。

  7. 小林 英弘 より:

    回生ブレーキってそんなに難しい高度な技術でできていたんですね。ちょっと驚きです。ならその分野でトップを走ってたトヨタのブレーキ問題をあんなにバッシングするのってちょっと可哀そうだったんじゃないでしょうか。そんな高度な技術を世界で最初に実現したんだからもっと大目にみてあげても良かったのでは? まぁアメリカは何でも自分達が一番じゃないと気がすまない国民性なので仕方がないのかも知れませんが。…あと10年もすればアフターパーツで「回生ブレンボキャリパー!」なんかが出てくるんでしょうか?(笑)。「回生ブレーキ対応ステンレスメッシュブレーキライン!」とか色々出てきたら面白いですね。

  8. tm256 より:

    >ミニの電気自動車に至っちゃブレーキ踏んでも回生しないという手作り電気自動車
    なるほど、こういう状況だったんですね。
    先日、BMW社のイベントでMini-Eを試乗させて頂けましたが、アクセルを戻すだけで強力な回生が掛かるようになってたのは、ブレーキ側での回生制御が行われていなかったためか・・・
    ま、でもMiniってカワイイというか、カッコ良いので技術的な面はともかくとしても、乗り回してみたい気はしました。
    それにしても、何かにつけて「構造が簡単」って言われるEVですが、電池といい、ブレーキといい、実は奥が深いですな。

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