火力発電も止められない

デンキのことを書いたら、様々な人からメールで情報頂き、自分の不勉強さにウナるばかり。こら気合い入れないとアカン。例えば余っている夜間の電力は「原子力発電所産」とばかり思ってきたけれど、そうじゃなかった。今や火力発電所も止められないタイプが主流になっているのだという。
 
最新の火力発電所は『コンバインドサイクル』(ガスタービンと蒸気タービンを併用したタイプ)の効率を一段と追求すべく、1500度もの高温で稼働するようになっているという。このくらいの温度になると、簡単に冷やすことなど出来ない。つまり常時稼働させておかなければならないのだった。
 
何のことはない。原子力発電だけでなく、火力発電の電力も深夜に余るワケ。大雑把に言えば夜間の電力で充電したって、半分以上火力発電所で作ったモノだと
いうこと。おそらく夜間の余剰電力を使う電気自動車であっても、ハイブリッド車の半分程度の二酸化炭素排出力になるだろう。
 
いや、正確に言うと、的確な資料が見つからない。一般的に出回っている電気自動車推進派のデータは、火力発電を最先端の天然ガス使うコンバインドサイクルとしている一方、ガソリン車は普通のレシプロの熱効率を出している。そらそうだ。データなんて手前味噌の材料作りですから。
 
昼間電力使うと、ハイブリッド車の3分の2以上の二酸化炭素排出量になってしまう。もっと言えば車両サイズや外気温も考慮されていないのだ。リーフで外気温0度だと、おそらくヴィッツ級ハイブリッドと同じくらいの二酸化炭素排出量になるだろう。これを知ったらシロクマも暴れるか?
 
ただ夜間の余剰電力を使い、本来ならエンジンで走るクルマを電気自動車に置き換えるというなら、二酸化炭素削減効果大。なのに今の状況だと結果的に昼間の電力を使って走る電気自動車が多数派になる。繰り返す。夜間の余剰電力を使わない限り、電気自動車は意味無いです。
 
可及的速やかに夜間余っている電力を誰でも安価に電気自動車用として使えるようにすべきだ。難しいことではない。新しい回線をもう1本引くことを認め、夜間に安い料金体系となる『お得なナイト8』を適用すればいいだけ。このままだとプラグインハイブリッドの将来も真っ暗です。

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12 Responses to “火力発電も止められない”

  1. Ls150 より:

    >難しいことではない。新しい回線をもう1本引くことを認め、夜間に安い料金体系となる『お得なナイト8』を適用すればいいだけ。
    そうなると、政府が待ってましたとばかりにガソリン税に相当する税金を、課税してきませんか。
    現時点のEVでは、家電と同じ家庭用電力を使用するためEVに限り課税することが難しいですが、専用線となると慢性的な財源不足の政府が黙っていると思えません。

  2. 電化文明 より:

    クルマも家も電化が進んで、10年経たない内に、ガソリンスタンドもガスを使う家も絶滅する運命なのでは?
    ちょうど時代の転換期にさしかかっているかと。

  3. ぱんだねこ より:

    EVに乗り換える意義とは、CO2削減よりCO2の排出量が管理できることにあるのではと思っています。
    個々にCO2を排出する車が走りまわるより、発電所でまとめて発電した電気で走ればCO2の排出量をカウントしやすく正確になり、削減施策の効果も定量的に見られます。そこがCO2削減の本当のスタートかと。
    あとは、ガソリン車とEVの価格差をペイできるかについてあまり執着しないことでしょうか。ペイできないと普及が妨げられますが、現時点で個人が数十万から数百万のお金をEVに投資する割合は、全ての自動車の割合のどのくらいになるのでしょう。現行プリウスと同クラスのガソリン車くらいの価格差(Lグレード除く)くらいにならなれば、ドカンと増えると思います。
    離島でガソリン代が高いとかの特別な理由をのぞいて、EVは個人で持つよりカーシェアリングから普及を狙ってから個人のクルマの置き換えを促すほうが現実的だと思います。それにEVに向いている近距離移動に使うとしたらリーフは大きすぎと言うか、値段が高すぎと言う気がしてきました。とりあえず「今の技術を集めればこんなEVになるんだよ」ということをアピールできるのがせいいっぱいかと。
    経済性では軽自動車にはなかなか追いつかないし、トヨタ・日産・ホンダが軽自動車重視に方向転換したことも加味するとそんな感じに思えてくるのです。

  4. そもそも より:

    そもそも直流のバッテリーを充電するのに、一台一台のEVに高価なインバータを搭載して、停電圧交流から数時間かける現在の充電方式は無駄。昼だろうと夜だろうと需要のない余った電力を家屋に設置したバッテリーに常時電気をためておき、必要なときに高圧直流を数分で充電するのがあたりまえになる。そのときは、蓄電扱いになるので、堂々と別回線の契約にできます。
    まあリーフの廃バッテリーがでまわる10年後以降の話ですが。

  5. かず より:

    難しい事はワカリマセンが、神戸市内の電力の半分以上は、
    神戸製鋼の火力発電所の電力です。
    (*_*)
    製鉄所は24時間稼動中ですし、それなら自前で発電しつつコストダウンし、売電と相成ったようです。
    勿論、最新タイプで排ガスも環境対策タイプです。
    火力発電所も、
    すべてが悪い訳でも無い様であります。
    フォルクスワーゲンの今のエンジンラインナップの様に。

  6. maltar より:

    繰り返しになりますが、これだけは誤解の無きよう申し上げます。
    夜間余っている電力を誰でも電気自動車用に使う事は、現時点でも「可能です」。
    ただし「安価に使う」ためには、既にオール電化契約をしている住宅でないと難しい。
    つまり、たとえ24円/kWhで課金されていたとしても、深夜帯にタイマー充電を使用して充電すれば、使用されるのは「深夜電力」すなわち夜間の余剰電力です。
    ここら辺、オーナーの意識の持ち方で、如何様にもなります。昼も夜も料金変わらないなら昼に充電してやれ!とやってしまうと、確かにEVの意味ありません。
    別に私は電力会社の人間でも何でもないのですが、将来のリーフオーナーとして気になったもので…
    なお、EV向け電力プランという事であれば、オール電化住宅向けの「おトクなナイト」よりも、むしろ電気温水器向けプランの「深夜電力(第2深夜電力)」の方がしっくりくる気がします。これだと昼間の電気料金が上がる事もありませんし、既存の料金プランですから電力会社がEVでの契約を認めれば済む話です。

  7. kojima より:

    う〜む、では原子力発電所を90%フルで活用して、
    夜間は充電、昼は普通に給電、足りなくなった時に
    火力発電というのは絵に描いた餅なんですかね〜。

  8. pulum より:

    深夜電力が安いのは、夜間は需要が少ないうえに需要変動が少ないので、需要変動への追随性が低いけども燃料費が安い原子力と石炭火力をメインで使っているため安いという理解をしています。単純に余っているから安いというのは必ずしも正しくないと思いますよ。
    昼間は需要が大幅に変動するため、需要変動に追随しやすいが燃料費が高い石油火力やLNGコンバインドサイクル火力を使っていると聞いたことがあります。コンバインドサイクルを常時稼働させなきゃいけないというのは誤解かもしれないです。
    電力会社の事情は車雑誌で出てきたのを見たことがないので、国沢さんが電力会社の人と電気自動車に関する事を取材されてはいかがでしょうか?

  9. engine より:

    どうも日本での論議を聞いていると
    日本国内で如何にエコにすべきかの視点ばかり
    日本列島上空のCO2を考慮するよりも
    影響力からいえば、米国、中国を如何にコントロールするか
    こっちが10倍以上重要だと思いますよ
    もちろんEVなど新技術開発は続けるべきですが
    日本が本当にやらなくちゃならないのは
    米国、中国をエコに舵を取らせる外交力だと思っています
    その外交力のカードとしてエコ技術力を使うのであれば良いですが、
    外交=米国を喜ばせること(怒らせないこと)の現状が
    エコに関しても最大のマイナス要因になっている気がします

  10. さね より:

    お話をうかがうと、未来に思えた電気自動車もマユツバ物だったんですね。電気自動車もゼロエミッションと唱っててもやはり、CO2を排出するわけだし。バッテリーやモーターの製造ででるCO2や廃棄の問題など問題山積なんでしょう。 となると電気自動車が爆発的に普及してもこまる気がするし… ハイブリッドもある意味無駄かも。二つも動力とバッテリー積んで重く作る時にはCO2物凄い出すでしょうし… やっぱり夢のような車は燃料電池なんですかね?

  11. 脱原発電化時代 より:

    火力発電所は需要に合わせた出力調整が出来るが、需要の追従能力に任せっきりも、良くないです。火力発電所の軽い負荷での運転は、昼の能力に合わせた、大きな発電所で効率の悪い小さな運転をしなければならない事や、夜間の停止は再起動の際、ボイラーを再加熱しなければならず、変換効率が低下、電気使用量の割にエネルギーを余計に消費してしまいます。夜間でも、発電所にある程度の有効利用出来る負荷を掛けて、連続一定に出来るのならば、経済運転出来る為、原発が有る無しに関わらず夜間に蓄熱蓄電、翌日のピーク削減利用を引き続き推進したほうが良いと思います。そんな追従が緩慢な大きな設備で電気を作る理由は、一カ所でまとめて電気を作る方が、バラバラで電気を作るよりも熱が逃げにくく変換効率が高く、排気処理もし易いし、安い電気を平等に適用出来る。みんなで使えば、マスメリット享受出来ます。
    空気中の熱を汲み上げ、投入電力の3倍以上、火力燃料熱量から火力発電所の損失を差し引いたとしても120%の熱量が得られ、コンバインドサイクル火力の組み合わせなら、180%と輸入燃料や自然エネルギーを有効利用が出来るエコキュートや、昼のピークを避けて運用出来て発電所の負担が少なく出来る蓄熱型エアコンなどの機器、回生ブレーキが使え、エンジンよりも発電所の高効率が享受出来る電気自動車などを再評価しても良いと思います。
    オール電化の契約は?。
    給湯熱を燃焼から深夜電力利用に切り替えすることで、電力平準化によるエネルギーの有効利用に貢献出来ているので、オール電化住宅に住んだからと言って後悔する必要は全然無いと思います。
    電気の大量消費を思わせますが、既存の家電品を自然エネルギーで繋げる親和性やコントロール性の自由度や使う側の角度次第で無駄なく利用出来るのも電気の特徴です。
    大きな施設の電力を電力網の規模 を変えずに無駄なく上手に使い、引き続き、輸入エネルギー利用の削減、自然エネルギーへの協力をしていく事だと思います。
    火力発電所でも電力平準化。
    http://www.okiden.co.jp/environment/report2011/sec7/sec77.html

  12. G35X より:

    脱原発電化時代 様、
    一日の電力需要平坦化… 原発の新規建設はおろか現有のものの再稼動もおぼつかない日本の現状から見て、これからの日本の取り得る選択肢は需要平坦化と旧式火力施設の高効率化しかないでは? 東電管下の需要ピーク時(真夏炎天下の午後高校野球決勝戦実況放送中)で60ギガワットにも達すると思いますが、そんな日でも深夜需要は40ギガワットそこそこだと思います。 一日の需要変化の積分値を矩形にし得られる平均需要値はピーク時の80から90パーセントほどでしょう。 ということは、需要平坦化により原発なしの東電でも十分に需要を満たすことができると言えます。 現在の東電の最大発電能力を50ギガワットとして、その10パーセントは5ギガワット、即ち原発や最新火力の5基分です。
    需要平坦化には深夜蓄電、蓄熱が最も有効であることは仰せのとおりです。 蓄電は送電側と需要側の双方で行うことができ、大型のものではナトリュウム硫黄電池がありますが、残念ながら発火事故でその使用と新規設置が中断しているようです。 早く技術問題を解決してもらいたいものです。 一方自動車用として開発が急速に進みその価格も大幅に下がってきているリチュウムイオン電池を家庭用の固定蓄電装置に使おうという機運は高まってきています。 例えば、実用8キロワット時ほどの電力を深夜に溜めることができれば、日中4、5時間はその家庭を電力網から切り離すことができます。 2キロワット「節電」するとして50万戸で1ギガワット、とりあえず5年で100万戸設置といった政策も実現不可能ではありません。 リーフやiMiEVも「車としても使える」家庭用蓄電装置として見れば300万円は安いものです。 また、車載用は難しいとしても住友電工が実用試験を始めているナトリュウムイオン電池は価格も安いであろうことから電力需要平坦化の切り札的な技術となる可能性があります。
    御参考までにカリフォルニア州の電力需給状況を示すグラフをご覧ください:
    http://www.caiso.com/Pages/TodaysOutlook.aspx
    需要の波が良く判ります。 また、画面下部の風力発電や太陽光発電の出力カーブを見るとこれ等の発電機装置には蓄電装置によるバッファーがいかに重要かが判ります。
    一方、現在の電力網の負荷軽減の奥の手もあります。 即ち、都市ガスを燃料とした自立型燃料電池を一般家庭に設置すれば、例えば、750ワットを24時間連続運転するとして一日18キロワット時、これを5キロワット時ほどの蓄電池をバッファーと併用すれば、電力網からの電気を必要とせずオール家電の生活ができます。 屋根上に太陽光電池があれば尚可です。 この装置の廃熱を台所や風呂の温水や、暖房(冷房にも?)に使えば、総合の熱効率は60パーセント以上となり化石燃料資源の利用率が上がり、二酸化炭素排出の低減にもなります。 天然ガスのコストは電気エネルギー換算で2分の1から3分の1です。 60パーセントの効率と装置の償却費を考慮しても実用期に入ったと言えます。
    蓄電装置にしても都市ガス燃料電池にしても既に商品化されているものがあります。コスト的にも将来かならず下がるので、日本が国策として力を入れるべきものですが、電力業界の抵抗は激しいでしょう。 エネルギー価格政策、低価格深夜電力のより自由な使用、都市ガスの自由化等法律の変更や整備が必要で、国民の声として政府を動かさなければなりません。

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