18650

パソコンなどに広く使われている汎用の18650型リチウムイオンバッテリーを電気自動車に使えばいい、という意見を最近よく聞く。トヨタとテスラの提携をTOPで取り上げた時も「なんでトヨタが18650を使ったらアカンのか」という意見を貰った。結論から述べれば、性能的に電気自動車用としちゃ難しい。

こう書くと「充放電可能回数やエネルギー密度の少なさは急速に改善されていくと思う」みたいに反論されるかもしれない。電気自動車用として必要な充放電可能回数は最低で5千回。現在500〜800回という18650だって向上するし、エネルギー密度も現在
より30%くらい上がるでしょ、と18650派の人は言う。

ただ本格的な電気自動車用リチウムイオンバッテリーの目標性能を見ると、もはやケタ違いである。すでに充放電回数5千回を視野に入れ、加えてバッテリー形状も円筒形でなくスペース効率の良い角形。軽量化のためバッテリー搭載量を減らすと急速な充放電時に発生する熱の問題だって出てくる。

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バッテリー搭載量を減らすと充放電頻度が上がるため耐久性で厳しい

18650より格段に高い性能を持つバッテリーを日産NECなどは2012年時点で1kWh=4万円で作ろうとしているのだ。2014年には3万円を下回ってくると思う。18650バッテリーは現在最安値で1kWh=4万円程度。性能を向上させようとすると、現在のレベルから下がらないかもしれません。

それでもi-MiEVに使われている1kWh=15万円のリチウムイオンバッテリーより安価ながら、価格の優位さは2〜3年で無くなってしまうことだろう。
トヨタが自ら電気自動車を売るとすれば早くて3年後。すでに18650を使えばいい、なんて声は無くなっていると思う。やはり汎用は専用に勝てない。

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6 Responses to “18650”

  1. ケイイチ より:

    また失礼いたします。18650バッテリーという商品を転用する電気自動車の実現性が高いならありがたいことですね。それよりも、パソコンに広く使用されているリチウムイオンバッテリーを搭載していても構いませんが、後日・・・数年を経て改善されたり新開発される高性能の蓄電池がデビューした場合に、高い互換性?のある製品(載せ変え)であれば嬉しいのですが。いまやクルマ本体はボディ剛性を含めて優れた耐久性がありますから、蓄電池と制御機器の一部を交換するカタチで、新しい生き方!に走り出せればよいと思います。そういった技術は難しいのですか?。既に電気自動車として誕生したクルマや今後も発売されるHVを、ある程度の投資でEVに変えてくれるベンチャー企業を興す大学生とかいてくれたら面白そう・・・なんて期待しています。正直、地の果て?まで高価な中古車が溢れる日本市場で、将来はガソリン車が改造で電気自動車として稼働できたら・・・旧車オーナーなど愛着ある人々は嬉しいでしょうね。キャブレター車がインジェクションに換えられるようにいけば良いですね。 また・・・クルマは表面積が広い乗り物です。多少は高価くなりますがルーフやトランクに太陽電池を設置した発電スペースは?いかがでしょう(サンルーフのサイズ位でもありがたいです)。無駄にしがちな前面投影面積?は惜しい気がします。”世間の風当たりが強すぎる”??走行中の空気抵抗も利用してバンパーに内蔵した小型のシロッコファンを回す空気?回生発電も使えます(不可視のハムスター?)。軽量なバイク用サイズのバッテリーを載せて常時充電したとします、その電力はオーディオやLEDウィンカーなどに向けたバックアップ専用にさせたら(始動時にロストさせない仕組みをお手伝い)・・・。セルモーター使用時に失う過大な電力の補助電源として・・いまからでも使えそうだと素人考えしました。 家電製品と唯一の違いは・・・いいえ・・お箸から湯呑みひとつまで愛着あれば宝物でしょう。いまの日本人に欠けてしまった生命観や躍動、タマシイ発電の価値は・・・儚く・・うつろい。

  2. MCタイチ より:

    15万円/1kWhの「未来の電池」を日系メーカが訴求していた頃(と言っても数ヶ月前)は、私は18650セル派だったんですが、日産の電池が出てから状況が一変しましたね。国沢さんの仰るとおり、もう汎用セルのコストアドバンテージはありません。それは同時に、他社のEV用電池の存在価値が(同価格帯に出来ない限り)無くなった事も意味します。
    トヨタがテスラに2-3%という微々たる投資をした事は、トヨタがテスラの技術にあまり関心がない事の現われだと思います。もしトヨタが汎用セル連結法をかっているなら、テスラを一気に買い占めるか、以前から自社で開発を進めていたはずですから。
    とは言え、トヨタがパナソニックと共同開発してきた電池(未だ内容は不明)を捨てて日産から電池を購入するとは考えられず、今は非常に困った立場にいると思います。「石橋を人に叩かせる(他社で成功した商品を真似て販売力で売る)」トヨタ/松下商法は、イノベーションの時代には常に先手を打たれる危険性をはらんでいると思います。

  3. tm256 より:

    >「なんでトヨタが18650を使ったらアカンのか」
    ニュアンスが微妙に違う気もしますが、たぶん当方のコメントに対する補足かと思いますので、改めてコメントいたしますね。^-^;
    国沢さんの18650に対するご指摘はその通りかと思います。
    LIBセルやモジュールのコストと耐久性の両方でEV/PHV用バッテリーが18650など汎用の民生品を凌駕すれば、間違いなくEV/PHVにはそれ専用のLIBが搭載される流れが決定的になると思います。
    当方は、日産/AESCのマンガン系LIBの目標が2012年で4万円/kWhというアグレッシブなものであることは知りませんでしたので。。。
    ただ、耐久性はともかくLIBセルの容量辺り単価だけを単純に考えたとき、民生用18650セルのコストは、現在最安で20〜22円/Wh、つまり高々2万2千円/kWhです(バッテリーマネジメント周りを除く、セルのみのコスト)。
    このレベルをEV/PHV専用LIBが本当に達成すれば、恐らくほぼ確実にEV/PHV用LIBは日産/AESCなどの専用品が主流となるでしょう。
    ですが、現時点ではEV専用はまだ量産が進んでおらず、せいぜいその倍程度なコストな訳で、いわば過渡期だと認識しています。
    テスラが18650を大量に搭載したのも、18650が費用対効果で最適だと彼らが判断したからです。
    (しかも、品質面で万全を期すために中国製などを避けて日本製にこだわった)
    ですので、今後モデルSなどが量産されるまでにEV専用の大型LIBセルが安価に提供されるようになっていれば、テスラが18650を止めてトヨタやパナソニックが開発した専用LIBを積む可能性も出てきたとは思います。
    逆にトヨタやパナがEV専用のLIBセルでコストとサイクル性能(耐久性)の良いものを開発できないようなら、18650をテスラのようにして使う可能性がゼロではないのでは、と考えたからです。
    確かに、クルマの商品性・特性を考えたとき、トヨタがテスラみたいに18650を使う可能性は、かなり低いとは思いますが。。。(でもトヨタがAESC/日産のLIBを使う可能性も無いですよねぇ?)
    それはそうと、今まで気がつきませんでしたが、テスラ・ロードスターが大量に18650を積んだ理由は、航続距離を伸ばすためだけでなく、充電回数を減らすことで現在謳っている耐久性を達成するためという面も大きかったのかもしれませんね。

  4. Ito より:

    18650電池は2万円/kWh程度まで下がっているので、仮にその単価で調達できた場合はテスラロードスターの容量でも100万円少々の電池代です。
    現時点でのコストは極めて安いのは間違いないです。
    また、コバルト正極のものが多いので、エネルギー密度は120〜150Wh/kgあり、電気自動車用をも凌ぎます。
    ただ、耐久性と寿命は???です。
    テスラが16万kmの寿命を謳っているので「ホント?」みたいな議論によくなります。
    一回300km走ってから充電すれば16万km走っても充放電回数は500回少々。
    十分に18650の寿命(300〜1000回)のなかに収まります。
    ただし、短期間のうちに16万km走ればの話ですが…
    電池は充放電回数の他に経年劣化する要素もあります。PC用18650は後者に極めて弱いです。
    PCなどは3年も使えば本体か電池を買い換えるためコストを使って寿命を伸ばす必要がないです。
    しかし、EVだと2回目の車検で電池の容量保持率が下手すれば半減しているとも考えられます。
    EVの場合、10年間使っても80%は容量を保持していないと商品性はありません。EV用はおおむねこのハードルをクリアしています。
    そこが一番大きな違いですね。
    さすがに旧来のメーカー(特に世界一の耐久性を誇る日本メーカー)はよく知ってるので迂闊に弱い電池使って商品化はしてきませんけど、そのことがあたらしいトレンドに乗り遅れる原因にもなってますね(笑)

  5. とん より:

    パナソニックでは昨年の12月から、エネルギー密度:
    252Wh/kg の18650サイズのリチウムイオン電池がノートパソコン用に量産中です。
    http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn091218-1/jn091218-1.html
    確か、i-MiEVのバッテリはエネルギー密度が100Wh/kg 程度だったと思いますし、リーフでも120Wh/kg程度との記事を読んだ記憶です。つまり、パナソニックの18650なら同じ重量で約2倍以上のバッテリ容量を得られることになります。
    さらに2011年には266Wh/kg を量産予定だそうです。
    http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn091225-1/jn091225-1.html
    2倍の容量があればバッテリの放電深度が抑えられますので、寿命の点でも有利になります。確かに自動車の使用環境はノートパソコンとは較べるもないですが、今の時点で氷点下や気温40度以上でEVに乗ろうとする人がどれだけいるのか。
    現在、ノートパソコン用の大量に生産されている18650に対して、EV専用バッテリの生産量が増えればコストも下がるでしょうが、現時点でメニューを見せられて18650とEV専用バッテリ較べたら、18650がおいしそうです。

  6. antenna1st より:

    はじめまして
    パナソニック製18650リチウムイオン電池の販売を行っているantenna1st 田辺と申します。
    下記のサイトで販売を行っておりますので興味のある方は参照をお願いします。
    http://antenna1st.com/
    失礼します

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