いわき市へ

昨年のラリーの時にサポートしてくれた人が福島市の厳しい状況を教えてくれた。とにかくガソリン無いという。青年会議所で水などを必要としている人に配っているのだけれど、それもままならないそうな。16日くらいからボチボチとガソリンも入ってきたけれど、緊急車両へ優先されている。被災者は緊急車両ではない。

19日朝になっても好転しないどころか、さらに厳しくなっているそうな。そこで”貴重な物資”を届けましょうか、と返事したら「出来るなら福島より厳しいいわき市に届けて欲しいです」。聞けば水などを全く配れない情報になっているという。今や東京でも貴重な物資だけに無理かな、とも思ったが、そんなことしかお手伝いできません。

11時より早速複数の「あて」に問い合わせてみる。最初は2つとも「何とかなりそうです」。良かった、と安堵し容器などの手配を始めていたら、1つから「ブツはあるけど協力出来ないことになりました。ごめん」。しかしもう1つが「出来ることなら手伝いましょう!」。たぶん大丈夫です。

マリーナに係留されているフネには大量の”貴重なモノ”が埋蔵されている。こんな時期にフネ出す人もいない。マークルーザー2基掛けのフネなら、飲み水不足で極めて厳しい健康状態(血液に起因する心臓や脳関係の深刻な症状でる)のお年寄り達に物資を配るクルマ10台を数日間思う存分動かせる量の”貴重なモノ”を持つ。

これを売ってもらえることになった。量が量だけに相当な金額になるけれど、昨年のラリーの時にサポートしてくれた赤羽の大恩寺の住職が、1秒の躊躇いも無しに「困った時はお互い様。援助させていただきます」。困ったのは”貴重なモノを入れる”容器。探し回ったのだけれど全く無し! 

これまた『ホームピック関町店』に「少しでも役に立ちたい」という人が居て手配してくれるという。さらにベストカーで連載コラムを持つ長野さんが緊急車両の通行証を取得してくれた。文字通り幸運に恵まれ、16時過ぎに全ての準備が整う。さすがに軽トラックだと積載量の関係で厳しいため、850kg積みのトラックを調達。

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コ・ドラは長野さん。心強い

常磐道を北へ向かう。全体的に交通量少ない。特にトラックやローリーは皆無に近い状態。長野さん曰く「東北道も普段よりトラックの数が少なかったです。とうてい物資足りているとは思えないです」。水戸から規制区間になる。検問所は、もはや通行証の目視だけ。被災地の警察は事態の厳しさを認識してます。

途中、日立と北茨城の中間地点くらいでNHKのラジオから、聞き慣れた「ピロンピロン」の地震警報音。おおっ! と思って速度落として様子を見ると、変わりなし。12年落ちのトラックだと震源地のほぼ真上で震度5強を喰らっても気づかない! ピロンピロンの時はすでに激しく揺れていたハズ。

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ほとんど走っているクルマ無しの常磐道規制区間

無事いわき市に到着したら、全く人が居ない! 映画に出てくるシーンのよう。20時前なのに駅前のバスロータリーはバス皆無。というかクルマも無し。到着したら”貴重なモノ”を運ぶ場所を電話で聞くことになっていたのだけれど、折からの地震で全く繋がらない。人の居ないビル街を迷っていたらカングーが。

青年会議所の場所を聞こうとするが、窓を開けない。客観的に考えてみると、普通ならナニが起きてもおかしくない状況。というか、考えようによっちゃ犯罪起きてないのは信じられないこと(もしかしたらコソ泥は横行してるかも)。カングーの人も用心したんだろう。東京から物資を運んできたことを告げると、丁寧に教えてくれました。

考えてみれば”貴重なモノ”を大量に持っている。そんなことないと解っていても、ちょっと怪しい感じのクルマが通りがかると(実際、数少ない走っているクルマは物色しているように感じる)身の危険を感じます。長野さんと二人で良かった。全く電話繋がらないため、駅前の交番に。

すると警察とは思えないくらい、心のこもった対応。本当は悪い人達じゃないのね、と実感す。こうして無事いわき市の青年会議所に到着。明日から数日間は心おきなく物資を配れると思う。今後もこういった任務を遂行したいけれど、逆にドンドン規制が厳しくなっていく。どうしたらいいだろうか? 

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詳しくは明日にしたいが、今後茨城県以北は放射能の被害で農産物や水産品を中心に壊滅的なダメージを受けると思う。以下、福島市の方から20日の朝に頂いたメールを紹介させていただきます。

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この度は本当にありがとうございました。どうお礼を言えばよいのか、言葉が見つかりません。今すぐは叶いませんが、いつか必ずお礼をさせていただきたいと思います。いわきの地で窓口となった、Aと夜に話をする事が出来たのですが、途中から向こう側が泣いていて上手く話せませんでした。

福島市内も、今週中には不足している物資も手に入ってくると思われます。そうなれば、あとは沿岸部 浜通りから避難されてきた方がいる避難所にどれだけ必要なものを的確にお渡し出来るか、その一点だと思います。

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10 Responses to “いわき市へ”

  1. むつらぼし より:

    国沢師匠そして長野さんの誠意、実行力に敬意を
    表します。本当に大変な中をお疲れ様でした。
    首都圏に住んでいる私たちは計画停電等
    により不自由な生活を強いられていますが、現地で
    被災された方々のことを思うと贅沢は言えません。
    にもかかわらず身の回りを見渡せば、ガソリンや
    食料の買占めに走る人々のなんと多いことか。
    自分は国沢師匠の教えに従い、冷静に判断&行動
    するようにと心掛けています。11日以降、クルマ
    もバイクも給油していませんし、貴重なガソリンを
    温存するため交通手段を自転車にスイッチして状況
    が落ち着くのを待とうと考えています。
    自分も何か行動を起こさねばとは思っているのですが、
    いまだに何も出来ずにいることを恥ずかしく思います。
    そんな中、宮城と岩手の友人の無事が確認出来たのは
    幸いでした。
    私の勤務先は製造現場ですが、計画停電の実施に伴い
    操業停止状態が続いており、再稼動に向けてメンテナ
    ンスに追われる日々です。
    被災地の方々が、一日も早く通常の生活に戻れること
    を心から祈っております。

  2. 匿名 より:

    マークルーザー2基掛けのフネを持っているほどのお大臣様は無償提供しましょうとは言わず売ったのですね。
    ちょっと悲しいです。

  3. ぱんだねこ より:

    福島県内に、勤め先の工場があります。原発から40kmのところなので、かなり対応も微妙です。本社から支援物資を送っています。
    何とか生産を再開したい会社とゆれる社員。それも、原発の近くであるから・・・。どうしたらいいのか誰もわからない状態です。

  4. アミーゴ5号 より:

    船から調達とは・・・
    素晴らしすぎます。
    m(_ _)m
    m(_ _)m
    m(_ _)m
    今、自分にできることは、家族5人が家から出ずに、クルマに乗らない、物を買い占めない、電気を使わない、義援金寄附の4つだけ。でも自分のように受け身しかできない人は、せめて徹底しましょう!

  5. ザッキー より:

    昭島青年会議所OBのオザクです。
    ご無沙汰をしております。
    私も微力ながらお手伝いをしております。
    本日は13時より昭島駅前で街頭募金活動です。
    国沢さんのますますのご健筆をお祈り申し上げます。
    がんばりましょう!

  6. おし より:

    ご苦労様です。と言うか、ありがとうございます。私は若い頃、いわきに住んでいた事があり、仲間がたくさんいます。今も我が家には、いわきの友人一家7人が非難して来ています。
    その友人に水道局の知人がいて、必死に回復に努力していて、今週中にはその友人の家辺りも水が出るようになるんじゃないかとの事でした。そうなれば帰って復興に向けて動き出したいと言っています。
    自分の事で精一杯な私でも、出来る事を探しながら協力して行きたいと思っています。
    何か出来る事があれば声をかけて下さい。

  7. ゲイン より:

    情報配信だけでなく、困ってる人の為に行動出来る。
    国沢さんはとても立派だと思います。
    私は、応援と募金ぐらいしかできません。
    私は、物流は最初の三日ぐらいは悪いが、一週間もすれば大丈夫だと思ってました。
    現実は被災地と付近に燃料が足らない、人災です。
    悪い支援、遅い支援、と足りない所を埋めていく後手後手の対策
    国民の要求に答えられない政府は最悪です。
    最前線の立派な人達も駄目な政府の元では能力発揮できません。
    政治家なんかには特に期待してませんが、西日本の政治家はやろうと思えば
    一人の権限でも多量の物資を届けることが出来ると思うのですが現実にはおりません。
    地域政党の行動派は選挙で動けません。正直遅い支援の手をみると歯がゆいです。

  8. のぶそん より:

    微力ですが救援物資多少用意できました。
    詳細は、国沢様のyahooメールへ送らせてもらいました。

  9. イオス より:

    大阪在住ですが、福島県とはご縁が有ります。VWイオスを探して、わざわざ福島まで飛んで試乗、契約した事を思い出します。
    同様の活動を続けられるのでしたら、カンパしたいと思います。ご連絡下さい。
    運搬用で燃費の良い車をアドバイスされるのも支援になるかもしれません。

  10. 真鍋清 より:

    小生も先ほど夕飯にジャワカレーの中辛を調理しようとした折、自宅の戸棚に二年ほど前から買い置いてあるパン粉やカレールウ、シチューの残りを見つけ、なんてムダ買いをしてしまったのかとげんなりしてしまったのと同時に、コンビニ等で募金の傍らそうした食料・生活物資の支援取次を行っているのなら是非被災地に回そうと意を強くした次第です。
    そうした意味で、手持ちの余った生活物資の被災者への提供ルートについてブロガーの皆様から情報をお待ちしております!

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