三菱自動車の燃費不正の件、性能実験部長だけの権限では不可能
三菱自動車の燃費不正の件、今までの報道は第一性能実験部長が行ったということになっている。確かに三菱自動車の場合、燃費性能は第一性能実験部の担当分野となる。けれどこのストーリーはどう考えてもおかしい。というのも当時開発中だった新型車(問題になっているeKワゴン/デイズ)の燃費が目標値をクリア出来ないという課題は、実験部だけで済む問題でないからだ。
当然ながらエンジン開発部門が最も大きな「燃費担当」になる。特にeKワゴン/デイズの場合、29,2km/Lという発売当時日本で最高の燃費を実現するため、様々な技術を投入した。エンジン部門は「このままだと目標値をクリア出来ない」という実力だと理解していたことだろう。同じく新開発となる変速機の部門も目標値のクリアが難しいという認識を持っていたに違いない。
こうなると第一性能実験部長だけで対応出来る内容ではなくなってくる。もちろん最終的に実力と違うデータを国交省に提出したのは第一性能実験部だろうけれど、エンジン部門と変速機部門も知っていたと考える方が自然だ。さらに車体やタイヤ部門も燃費と密接な関係を持つ。この部門も知っていたことだろう。つまり最低でも5部門関わっているということになる。
5部門の部長が密談で決めたと考えることも可能。ただ自動車業界を長く見ている立場からすると、5部門が話し合って不正したとは考えにくい。今回の規模と内容からすれば当時の開発本部長が関与していたと考えるべきだ。記者会見で左側に座っていた中尾副社長が認識していた可能性も半々。ちなみに相川社長は当時営業部門にいたため、本当に知らなかったと思う。
この件、おそらく22日から指摘され、会社ぐるみの不正ということになっていくだろう。三菱自動車がやるべきことは可及的速やかに全ての内容を公表することだと考える。少しづつ暴かれ、お詫びを繰り返すという対応は厳しい。組織ぐるみの不正だと言うことはいずれバレる。自動車業界の自浄作用を期待し、最初に書かせて頂く。
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