自動車メーカーはMRJやH3ロケットのような大失敗は絶対にしないと思う

驚いたことに欧州市場でトヨタがVWに次ぐ2番手の販売台数となっている! トヨタを除く日本勢は18位に日産。19位にマツダといった状況で、ホンダやスバルなどは撤退寸前といった感じ。日本勢が良いんじゃなくトヨタだけ台数を伸ばしてます。こらもうWRC効果に他ならない。そしてエンジン車販売禁止となる2035年までハイブリッド車が好調な売れ行きをキープするだろう。

欧州販売台数でヤリスが総合3位。ヤリスクロス4位!

当然ながら2035年以降は電気自動車にバトンタッチすべく動き出している。ただ日本からの輸出など考えていないようだ。欧州ベースで電池を生産し、欧州でクルマを作る。電気自動車の世代は一段と欧州ベースのメーカーになると思う。アメリカ市場で販売するクルマもアメリカで電池を調達し生産するという方向。まぁ現在もアメリカで生産しているクルマの部品は現地調達ですが。

興味深いことに世界の流れをコントロールしているのは日本。車種で言えば、コンパクトとそれ以外と商用車、レクサスの4部門に別れているものの、世界中の市場を同じ人が担当している。ヤリスも日本と欧州、新興国を同じ人が担当しており、総合的に考え、現地の販売価格と全体の利益、そして技術に対する投資をしている。現地化と並行しながら量販効果も狙う。

小さい目で作るとクルマは良くても全く売れない

対極にあるのがホンダ。日本の自動車メーカーの中じゃ最も早い時期からアメリカに軸足を移すなど現地現物化しているが、当時のクルマ作りを見ると今のトヨタと同じく世界を見ていた。ところが徐々に「現地で採算を取れ」という流れになっていく。独立採算の小さい組織の総合体にしましょうということなんだと思う。世界販売台数が少なく状況の中、規模を細分化しようということ。

流れは一段と強まる。ホンダのホームである日本市場についていえば、開発、宣伝、広報活動を含め、社長の直轄だった。国内で販売している車種も、社長が総合的に判断するという図式。なのに今や「日本市場は日本担当が頑張ってね!」という構図に。具体的に言えば社長の直轄であるべき広報部門も、ホンダ本体じゃなくディーラー組織の一部になるということ。

日本で採算を取ろうとしたら、もう軽自動車しかない。アメリカで販売するべく作ったクルマは、日本だと厳しいです。なんなってアメリカだとファミレスで朝ご飯食べて4000円。デザインに対する好みだって異なる。日本市場を十分に考えてのクルマ作りをしなければ無理。販売台数伸びなければ1台あたりのコスト上がり、同クラスのトヨタより高い値付けになって売れない。

直近の流れを見ると国際競争力をキープしようとしたら日本から出て行くしか無いのだけれど、アプローチはトヨタ方式とホンダ方式に別れていくんだと思う。機会あったら分析してみたいが、直近の動きを見ると三菱自動車はトヨタ方式を選んだ。スバルとマツダについていえば、藤貫さんと毛籠さん次第。日産よく解らず(船長の顔が見えない)。スズキはインド方式という感じ。

H3ロケットの失敗を受け「次は頑張れ!」と思っている人も多いようだ。確かに打ちあげコストはH2の半分の50億円になるらしい(MRJのような失敗を繰り返さなければ、です)。ただH3って100kgの衛星を軌道に乗せるのに1250万円掛かる。イーロン・マスクのスペースXなら320万円ほど。国から補助金貰ってない企業ならH3じゃなくスペースXに頼むだろう。

ここにきて電気自動車がMRJやH3ロケットのようになることを危惧する識者も増えてきたけれど、自動車メーカーは国に頼らないという根本的な違いがあるということを知っておいて頂きたく。メディアも同じ。私は読者に支えられているので何の忖度もなく意見発信出来ます。最近の大手メディア、ビビリ過ぎ(笑)。改めてサポーターの皆さんに謝意を!

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1 Responses to “自動車メーカーはMRJやH3ロケットのような大失敗は絶対にしないと思う”

  1. z151 サンバー愛好者 より:

    e-fuel認めてという流れ、アレでEV挫折というのは極端だなと私も思っていました。
    ただICE(内燃機関)拒絶も極端すぎるとは思っていました。
    EUってひとつひとつの国土は思ったより小さいけれど陸続き。(イギリスはEU抜けたけど面倒なので一括りかつ島国ですが一応海底トンネルで繋がっています。)
    夏のバカンスも2か月というのが割と普通な社会構造の中200km走って充電、また200km走って充電で不便じゃないのかなとは素朴に疑問でした。
    また長距離の大型トラックなんかはEVだと都合が悪そう。
    欧州の政治家もあんまりユーザーの利便性とか言っていられないのかなと朧気ながら考えていました。
    とはいえカーボンニュートラルは必達目標。
    腹の裏には「アラブ諸国やロシアのような国に左右されないエネルギー構造を構築する」意図がありそうな無さそうな。
    MRJ撤退、客船建造撤退、H3ロケット失敗とまあ中心企業は三菱重工な訳ですが、これで来月2号機ロケット飛ばすくらいのガッツがあれば「ををw」となるのですが。
    せめて三菱自動車が明るい材料を提供して欲しいところ。

    日産の「電動車の価格をエンジン車と同等にします」ニュース読んだ時、ひねくれた私は「エンジン車の価格を大幅にアップするのか?」と裏読みしました。(笑)
    いや割とあり得るんじゃないかと今でも思っています。
    ジャンク債への社債降格も理由のひとつが「利益率が悪すぎる」でしたので、これを同時に解決するにはエンジン車の大幅値上げによる利益率アップという結論を出しかねないとか考えてしまう訳です。
    それくらい私の中で「ジャンク債扱い」な日産。
    格上げしたい気持ちはいつもありますが、割と毎回裏切られている思い如何ともし難く。

    トヨタだけが怪気炎を吐き、ホンダやスバルが撤退を余儀なくされそうなEU市場。
    ホンダだって2年前までF1やってたのになと思いますが、F1で販売効果が出るのはフェラーリみたいなスーパーカーやスーパースポーツカーなんだろうなと。
    NSXはハズレましたが、そういう目の肥えた層の御眼鏡に叶わない品質だったのかなと妄想します。
    スバルも10年以上前にWRCから撤退してしまって神通力もなし。
    ソルテラも連続充電が効かないので大陸横断旅行みたいな使い方は事実上できないことになります。
    ここでもやっぱりトヨタが上手い商売をやっていることに。
    ヤリスはWRCカーとはライトくらいしか共通部品がないといわれるくらい別物ですが、間違いなくトヨタヤリスですし、何より燃費が恐ろしくいい。
    ヨーロッパのWTLCモードで28km/ℓなのでガソリン高騰でも影響が少ない方のクルマということになります。
    こういうクルマって中速域スッカスカとか走りも質感も我慢するイメージが先行しますが、ちゃんと走るというのも評価ポイントなのかも。

    ダラダラと書いてきましたが纏めますと、「トヨタ以外もガンバレ!」ってことです。

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