SKY-Gの検証進む

画期的な燃費性能を掲げている(未だに株価はピクリとも反応していません)マツダの新型ガソリンエンジン『SKY-G』の技術的なロジックが、半分くらい理解できた。簡単に言うと「これまでは高圧縮比と言えば主としてパワーを追求するために行っていたけれど、マツダの場合、基本設計を省燃費とした」。
 
例えばストローク&燃焼室形状。ターボ無しのレーシングエンジンは高回転化が必須。当然ショートストロークとする。したがって燃焼室の形状を見ると妙なカタチになりノッキングしやすくなってしまう。だからこそ燃焼室形状を工夫できるターボは、驚くほど高い過給圧を加えてもノッキングしにくい。
 
SKY-Gはストロークをキッチリ取ってあるため、燃焼室の形状で有利。さらにピストン頭頂部にキャビティ(ゴルフのアイアンのような凹み)を設けており、ここに直噴でガソリンを吹いてやりコンパクトに燃焼させてます。なるほどロングストロークで高圧縮比を追求したエンジンって、あまり聞かない。

また、タコ足排気によって燃え残りの排気ガス(残留ガス。高温になっている)をキッチリ排出すると、圧縮比を高めてもシリンダー内の温度上昇も抑えられる。タコ足排気も従来は高出力エンジンのために使われるアイテムであり、これまた省燃費エンジンに使うというアイデアは無かったかもしれない。
 
マツダのデータによれば、残留ガスを8%から4%に半減することによって圧縮比を3高めても圧縮上死点の燃焼室温度は800度をキープ出来るという。さらに直噴なので気化潜熱による冷却効果も加わり、圧縮比を1上げられるそうな。通常のエンジンが圧縮比10だとすれば3+1で14という具合。
 
その他、やっぱりバルブ系にも新しい技術を使っている模様。内容についちゃ現時点で全く公表されておらず。ポンピングロスを減らすためミラーサイクル的なコンセプトが採用されていると思う。というか圧縮比を上げたけじゃ、デミオの10・15モードを30km/Lになど出来ないだろう。
 
10月21日に行われる技術発表会でバルブについて説明するかどうか不明。もし発表されればイッキにナゾが解け、株価急上昇ありうる。Nox触媒不要だというSKY-Dについては詳細を取材中。こちらも低圧縮比だけでなく、未発表の燃料噴射にノウハウがあると考えてます。

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4 Responses to “SKY-Gの検証進む”

  1. 結局、使ってみないと分からない より:

    ピストン頭頂部に凹みというと、どうしてもGDIを思い出します。経年でオイルのカスが溜まって…みたいなことにならなければ良いと願います。
    スバルの新型水平対向もピストン中央が凹んでますが、シリンダが横向きだと、また話が違うのかもしれません。
    全くSKY-Gとは関係ないですが、直噴だと、気筒休止も簡単なはずですが、ホンダが気筒休止を出して以降、なぜか出ないのが不思議です。

  2. さね より:

    真面目に本当に地道な技術でも凄いエンジン、ミッションであってほしい。とくにミッションは日本車の行くべき方向を見せてほしいです。CVTを駆逐してほしい。他メーカーもマツダから良いものなら買ったら良いでしょう。特にスバルは見習ってパテント代払ってでも縦おきFF&4駆用を自社で作ってくださいよ リニアトロニックはこの際捨てましょう

  3. is2eco より:

    新デミオは、先日発売になったフィット HV(ハイブリッド)と同じ燃費、30km/Lを「HVなし」でたたき出すことになる様ですが、このことで現在のエコカー減税のHV優遇という側面について議論される必要があると思いますが、いかがでしょうか?

  4. 真鍋清 より:

    とにかくマツダに脱帽!
    目下はっきり言って「開店休業状態」の現行アテンザにこのSKY-Gの2.0L版、欧州輸出のSKY-D2.0Lを一刻も早く搭載してもらいたい!そしてミディアムセダンの新たな可能性を江湖に見せつけ「トヨタ何するものぞ」の気概を見せつけることを切に願っている。

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