東芝のSCiB電池

SCiBという画期的なバッテリーを開発した東芝がVWと組むというニュースを見て二つの点で驚いた。一つ目は「本当に日本の自動車メーカーから評価されなかったのか」ということ。東芝のWebサイトの「詳細説明」や「仕様」などを見ると完全に自動車で使われることを意識してます。

1ユニット/2kgが24Vで4、2Ah。こいつを330kg分積めば330Vの16kWhの三菱iMEVと同等のバッテリー容量になる。ちなみにiMiEV用のGSユアサ製バッテリー、約150kgだということ。SCiBなら重量にして倍になるワケ。現時点じゃ性能不足か?(15日の23時に数字を訂正しました)。

ただ性能を見ると6千回の充放電サイクルが可能だったり通常なら30分程度必要な急速充電が5分で出来たり、キャパシタ並みの出し入れが出来たり、低温に強かったりと、もはや自動車用として使ってくれといわんばかり。少なくとも現在プリウスなどに使われているニッケル水素バッテリーより高い性能を持つ。

複数の自動車メーカーに「東芝は?」と聞いてみたのだけれど、どうも乗り気じゃない様子。なぜか? その後、展示会に出展していた東芝のブースの人に聞いてみたら、何となく解った気がする。自動車業界の技術者と違い、応対が明確じゃないのだ。自動車業界の常識からすると「怪しい」感じ。

東芝サイドとしちゃ自信満々なんだと思うが、最終的に日本の自動車メーカーの要求レベルに届いておらず評価されなかった模様。二つ目の驚きは「ドイツってバッテリーの技術が本当になかったのね!」というもの。考えてみればベンツでさえサンヨーのリチウムイオンバッテリーを使うそうな。
            

ドイツという国、最先端のバッテリーくらい作れるのかと思っていたら、そんなこともないのか? VWといえばドイツの自動車メーカーの本家本元。優れた電池がボッシュやシーメンスにあれば使っただろう。いろんな意味で考えさせられました。

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3 Responses to “東芝のSCiB電池”

  1. G35X より:

    東芝SCiBリチューム電池… 急速充電が可能で安全、しかし価格が高いらしい。シュウイン電動機補力自転車が3000ドルもしてしまう。東芝は真空管時代から殿様商売、低価格化は時間がかかるのでは? それにしてもVWが東芝と組むとは!?ドイツにはボッシュという会社があるのに…ドイツメーカーはディーゼルに開発費を使いすぎた(圧電燃料噴射やコンモンレールはそもそも日本の技術だが)。EUの二酸化炭素排出量 120g/km の規制はもうすぐ、EVを何とか作らないと莫大なペナルティーを払わなければ… 東芝にはリラクタンス極付き永久磁石モーターの技術があるし、インバーター等の電子回路も得意、面白い組み合わせ、うまく行けば、ポルシェも二酸化炭素排出量の多い高性能車を作り続けることができる。 

  2. Ito より:

    SCiBはエネルギー密度にすると70Wh/kg弱ですので、軽量化という点では最新のニッケル水素並みのポテンシャルしかありません。iMiEVに搭載されているGS YUASA製のLEV50というLi-ion電池は110Wh/kgに達します。これは80%回復充電時間を30分程度で考えています。Li-ion電池が高容量を達成できる要因のひとつは端子電圧が高い(3.6〜4.0V)ことがあげられますが、SciBは2.4Vとなっていますので、その分だけ容量が少ないと考えられると思います。負極の変更で安全性と安定性を撮った分電位差は低下しています。
    しかし、HVには最適な電池であると思います。すでにプリウスなどでも電池が劣化すると全開加速性能がわずかに低下することがわかっていますし、SOC管理が厳密であるために重さの割には実際に使える容量が少なく、重くなっています。SciBであれば満充電、使いきりに近いことも可能になり、モータ走行領域は2倍以上に拡大できることでしょう。
    電気自動車用電池としては、SciBと高容量Li-ionの双方の特性を持ち合わせることが求められると思います。でも、こういうのって知らぬ間にイノベーションが起こって達成されるものだと思います。
    Li-ion電池は基本原理自体はアメリカで発明されていますが、実用化は日本です。大量生産という観点では、最近は中国などに押され気味ですが、まだまだ日本がリードしている分野です。
    欧州は欧州でインバーター技術でけっこう力を持っています。日本も東芝や日立など技術力のあるメーカーがありますが。プリウスなどで使われているIGBT(プリウスでは14個使われている)の新世代版であるSiC(シリコンカーバイト)のトランジスタの開発もHVやEVの性能向上に一役買うことが期待されています。

  3. pb より:

    SCiBのエネルギー密度も130Wh/kgに達したようです。
    http://ednjapan.cancom-j.com/ae/news/2010/9/7330

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