スズキのインド工場

スズキの子会社であるインドの『マルチ・スズキ』のマネサール工場で大規模な暴動が発生した。この件、皆さん考えるより深刻かもしれません。不満の原因は正規社員と短期契約で働く人との待遇差にあると言われている。今回の暴動も、管理職1人とラインワーカー1名のトラブルから大きくなったとのこと。

御存知の通りインドはカースト制度(職種によって詳細に待遇など分けられている)が残っている。「自動車工場のラインで働くカースト」みたいなものでもあればいいのだけれど、コンピュータソフトなどと同じく新しい産業だけに明確じゃないらしい。したがって本来同じ仕事をしないハズの人たちが混じってしまっ
た。

カースト制度では「上位のカーストと下位のカーストが同じ条件で働く」ことなどありえない(カースト制度の始まりはヨーロッパから来たアーリア人が原住民を奴隷にするために作った。根本は人種差別)。上位のカーストと下位のカーストが同じ自動車工場で働くことになったらどうするか? 
こらもう答えはひとつしかない。
 
「上位カーストは正規社員とし、シュードラと呼ばれる隷俗民を短期契約とする」です。上位のカーストにある管理職や正規社員は、当然のことながら下位のカーストと同じ待遇や給料になることを絶対認めないだろう。一方、ワーカー達は同じ仕事をしてるのに大きな待遇の差があることを快く思っていない。

暴動の原因についてマルチ・スズキ側は雇用の問題だといっている。工場用地を確保する際、そこに住んでいた人や親族を雇用するという約束をしたという。しかし
シュードラ(隷俗民)を正規社員にしなかったようだ。当時シュードラ側も正規社員と短期契約の区別を認識出来なかった? こいつに対する不満が強く残る。

今回の問題、日本側はコントロールできぬ。現時点で解っているのは、短期契約のワーカーの多くが大きな不満を持っている、ということ。今回も3千人のワーカーが集まり、4千人の警官を投入したという。ここまでモメると「ハイソウデスカ。アシタカラマタクルマヲツクリマショウ」にゃならないです。

インドはスズキの利益の3分の1を稼ぐ重要な市場。マネサール工場は昨年も労働争議があり年間生産計画を8万5千台も下回った。そんなことからマネサール工場に見切りを付け、穏便なグラシャート州に新しい工場を建てる計画を打ち出している。インドを知ってるスズキを持ってこの状況。難しいです。

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5 Responses to “スズキのインド工場”

  1. 買取屋 より:

    可哀想なスズキ…?可哀想な労働者…?ウ〜ン?皆〜それぞれ立場や言い分も有ると思いますけど…以前からインド自動車産業の発展に尽力し勲章授与されたオサム会長もさぞかし心を痛めてることでしょう…マルチスズキの速やかな和解交渉〜及び友好的な発展に期待したいです…あまり考えたくない事ですが〜和解してない?VWグループの仕込みとか…?

  2. さね より:

    カースト制度久々に聞いたなあ。もう薄れてると思ってましたが、まだまだ健在なんですね。国や民族にはいろんな文化風習があるので、他が何をゆってもインドの文化風習なので悪しき風習はその国の人が解決すべきだと思いますが、外からきた企業には困りものですね。日本からは異質に見えても現地では当たり前なんでしょうねえ。工場が稼働しないどころより、より深刻な根深い問題なんだろうなぁ。日本にもかつて身分制度がありましたが明治維新とともに改正されましたが、民族性も違うし…。ただこのままではスズキも困るでしょうから、日本ならではの身分制度に風穴をあけるようなは大袈裟ですが、日本の文化のいいところを記して解決してほしいです。こうして世界を考える時、民族主義的な文化風習は避けては通れない、長い歴史背景など人類はなかなか宗教も含め難しいですね。世界の三大宗教と言われる宗教事態は人類の長い歴史のたった約2千年しかたってないんですが、されど2千年かあ。複雑だなあ世界は。 本当に世界平和がくるんでしょうか? 相手を理解することから始めないとならないですが、理解さえしようとはしない人類。けれど車は世界各国で売られて商売になってるし凄い道具でもありますね。使われ方や必要性などは違うでしょうけど…車て偉大だな。

  3. まさ より:

    T系アセアン合弁会社で働いてる者です。
    今回のインドの件、衝撃をもって見てます。
    インドのここの拠点は年間、60万台を超え、80万台へ増強するほどになる矢先の事とか。
    自動車製造では、従業員のモラルが直接、車の品質へ大きく影響する危険性をはらんでます。
    完成車をどんなに時間をかけて検査しても、ご存知のように、車っていうのはホワイト ボデーに色んなパーツを上からどんどん組み付けてゆく代物です。
    そこで、重要なのは各工程での工程能力(良品率)です。これは機能不全な場合、完成検査で引っかかりますけど、それ以外は残念ながら市場に出てしまう危険性が大きいです。
    車の品質っていうものはそういう一般的に知られてない部分がごまんとあり、その会社の車の質は経営側と労働者との信頼関係で作られてる部分があります。
    スズキの今回の件、なぜ?スズキは労使関係をこじらせてしまったのでしょうか?マルチ・スズキ自体も潤沢な資本を持っていながら、最初の問題の芽を摘み取りに行かなかったのが原因でしょう。
    これは親会社であるスズキに全面的な責任があると考えます。
    日本の電気産業が海外でのトラブル前例もあるにも関わらず、スズキは学ばなかったでしょうか?
    一語に現地の特有な文化が原因とそれだけでは無いです。その一言で済ますようでは、必ず他の拠点でも同じ事を繰り返します。
    会社が好調でも労使関係がこじれてるメーカーの車は怖くて私は乗れません。
    アメリカの自動車産業も経営側と労働者側のこじれで衰退していったように、車の品質に大きな影響がでるからです。

  4. samine より:

    インドのIT業界では下働きと経営者の軋轢とかあるのかな?
    異なるカーストの人同士を同じ職場にいさせるのは、待遇を平等にしたら上位のカーストの人が、差別したら下位のカーストの人が反発するということで、やはり異なるカーストの人は職場自体を分けた方が良いのでしょう。
    カースト制自体が差別だけど、カーストによって職業を分けるのは今回の様なトラブル防止の意味もあるのかも知れません。カーストという差別の問題を見えにくくするという事ですが。
    スズキは、これからも異なるカーストの人を同じ職場で働かせるしかないのでしょうか?工事労働者は下位カースト、経営者は上位カーストとするだけでも今回の様な問題が起きたのですから。自動車はITよりも遥かに労働集約的産業だからカーストで分けるのは無理かと。現地従業員間で異なるカーストの人同士妥協してもらうしかないかな。

  5. samine より:

    カーストの対立は日本人には理解が難しいですが、相当苛烈なもののようです。
    例として、下位カーストの村の少年が上位カーストの村の少女にラブレターを出しただけで少女側のカーストの村の人々が怒り狂い、少年の親が泣いて息子の命乞いをする目の前で少年を線路に投げ込んで轢死させた事件があったとか。
    上位カーストの下位カーストへの目は蔑視どころか嫌悪すらあるもので、単なる差別ではなく多様な集団がもつ複数の社会が、インドの永い歴史で積み重なった嫌悪を抱えながら同居してきたというべきでしょうか。
    国が認めた公用語だけで何十もの言語があり広く多様な地域や階級に分かれるインドでは、カーストは身分や階級というよりそれぞれが個々の社会なのであって、その外(=異なるカースト)は敵という認識なのでしょう。
    デリーやコルカタといった大都市は別として、スズキの工場のあるマネサールの片田舎の村では交通もまだ充分に発達せず、古くからの「おらが村」という認識があるのかも知れません。カーストによって村が別れていることが多い様で、「おらが村=おらがカースト」、「よそ者=異なるカースト=敵」という認識があっても不思議じゃない。
    気前よく好条件で工場を誘致してくれてそれに乗って工場を建設したはいいものの、周辺の別の村(多分異なるカースト)との軋轢が今回のトラブルにも一枚噛んでいるという側面もある様です(毎日新聞より)。
    (参照記事)
    http://dream.mainichi.co.jp/hope/servlet/AuthNews?uid=NULLGWDOCOMO&k=mid&id=20120725k0000m030057000c

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