オールジャパンで新型コロナ禍の危機を乗り越える。困難に遭遇したら力を合わせるのが一番です!

自工会の豊田会長の記者会見がありました。内容を説明するより原文をそのまま読んで頂くべきだと思い、そのまま紹介させていただきたく。内容はお飾りになっていた自工会を「オールジャパン」の結び目にしていきましょうというもの。新型コロナ禍の危機を乗りきるためには絶対必要な考え方でしょう。以下、今日の仕事の前にでもじっくり御覧下さい。

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皆様こんにちは、豊田でございます。前回、会見をさせていただいた4月に、私から、「緊急事態宣言のもとで、私たち自動車産業がやるべきことは3つある」と申しあげました。ひとつ目は、モノづくりの力を活かして、医療従事者をはじめとしたエッセンシャルワーカーの方々を少しでもサポートしていくということ。

画面にあるのは一例ですが、自動車産業の沢山の仲間たちが知恵とモノづくりの技能を活かし、取り組んでくれました。ふたつ目は、なんとしても事業を継続して、内需の維持に貢献しようということでした。そして、3つ目はやがて復興の兆しが見えた時に、自分たちが復興の牽引役になっていこう、そのために準備をしておこう、というものでした。

生産や販売の現場は、感染対策に苦慮しながらも、とにかく事業を続ける努力を重ねてきてくれました。車やバイクが“安心な移動手段”として見直されるようになったことも後押しとなり、5月は前年比55%まで落ち込んでしまった販売も、7月、8月には前年比80%台まで回復するに至りました。自動車の回復は、部品だけでなく、鉄鋼、電池、運送など、幅広い産業の回復にもつながっております。

前回、自動車生産の経済波及効果の数値を紹介いたしました。自動車が“1”生産すれば、世の中の生産・経済活動が“2.5”誘発されるというものです。我々が工場を置く“ある街”の市長が「自動車の工場が動くと街が生き返る」と発言されたニュースを目にした時、2.5という数値を、肌身で実感した気がします。改めて、「事業を止めちゃいけない」「復興の牽引役をなんとしても担っていく」という想いを強くいたしました。

【新政権への期待】

先日、内閣総理大臣の交代がございました。8年にわたり安定した舵取りをしていただいたこと、安倍前総理に、まずは「ありがとうございました」と、お礼を申し上げたいと思います。特に、海外諸国に向け「顔の見える日本のトップ」としてリードいただき、海外で事業を展開する我々に最大限のお気遣いをいただけたこと、本当に感謝しております。

そして、前総理を、官房長官としてずっと支えられていた菅さんが新たなリーダーとして総理に選ばれました。「国民のために働く内閣」とおっしゃられた言葉、私どもも、とても頼もしく思っております。我々自動車産業も、日本国民のため、国のため、という思いで日々仕事をしております。

新内閣が「国民のために働こう」といった時、自動車産業のチカラを、もっと“あてにしていきたい”と思っていただけるよう、私どもも努力を続けて参りたいと思います。

【自工会改革】

今まで、何度も申し上げてきておりますが、自動車は100年に一度の大変革を迎えております。CASEなど、もっと幸せな暮らしを実現するための新たなモビリティ社会づくりへの挑戦です。この挑戦は、我々、自工会の会員各社が、本当に、心をひとつにして、力を合わせていかなければ、実現できないものだと思います。その軸となっていくのが、やはり、我々自工会であるべきです。

自工会は、1948年、70年ほど前に「自動車製造工業の健全な発展を図ること」を目的として発足いたしました。その後、経済成長やモータリゼーションが進む中、1967年に諸団体とも合流し、今のカタチの自工会となりました。当時、排ガス規制や貿易摩擦など、個社では乗り越えがたい苦しみがある中、オールジャパンで立ち向かおうと、自工会は、まさに、その軸となっていきました。

先ほど、申し上げたとおり、100年に一度の変革を迎えた今、自動車産業は、再び、オールジャパンで結束していかないといけません。モビリティの未来を、この日本から、つくることができれば、我々が事業を展開している世界の国々にも笑顔になっていただけると思います。そうして、世界からもありがとうと言っていただけるような、日本の自動車産業になっていければとも願っております。

私は、現在、2度目の自工会会長職を務めさせていただいております。今期は、会員各社の皆さまに背中を押していただき、この春からは、3年目の任期に突入いたしました。来年を含めると4年連続で、自工会の仕事をさせていただくことになります。長く自工会に携わらせていただき、強く感じていることがございます。

2年毎に会長が変わる体制であったことも、ひとつの要因かもしれませんが、自工会が、とても硬直した組織になっていました。例えば、「組織の構成」ひとつ取っても、50年間、全然、変わっておりません。これでは、自動車産業の未来にむけて、業界全体の“軸”の役割を果たしていくことは難しいのではないかと感じています。

そして、4年の任期をいただいたからこそ、私に出来ることが、なにかあるのではと考え、自工会が本当に頼れる業界団体に生まれ変わるための具体的な提案を、いくつかさせていただきました。先ほどの理事会で、理事の皆様から、その提案に賛同をいただいたところです。日本には様々な道がございます。それぞれの道に合ったモビリティが日本で生まれ、発展を遂げてまいりました。

そんな、それぞれの役割を持ったモビリティの経営トップの方々に今回から、副会長を担っていただくことになります。二輪代表のヤマハ日髙社長、大型車代表のいすゞ片山社長、お二人に、新たに、副会長を務めていただきます。昨年より副会長の乗用車代表 ホンダ神子柴会長、そして私も含め、このメンバーで、とにかく“頼られる自工会”に変わってまいりたいと思います。改めて、よろしくお願いいたします。

ただ、会長・副会長だけが動いていても、本当に変わっていくことはできません。いずれまた、トップは変わっていってしまいます。
会員各社から構成される業界団体としては、やむを得ないことかもしれません。しかし、トップが変わっていっても、自工会は、この先も、ずっと、ブレずに「自動車産業の役に立つ」「国の役に立つ」ための組織であり続けて欲しいと、私は願っています。

自工会に働く約100名の職員は、全国に550万人いる自動車産業の仲間達の代弁者だと考えております。職員たちが、仲間たちのために、もっと汗をかいていこうと思えるよう、委員会などの体制も見直してまいりました。トップも含め、全職員が、自動車産業全員の想いを背負う覚悟と自覚を持って、なんとか役に立っていきたいと、自ら動いていくそんな自工会に生まれ変わっていきたいと思います。

新たにいただいた“この2年の任期”を通じて、この変革をなんとしても成し遂げ、定着させていきたいと考えております。今日ここでご紹介した新体制の皆さんとともに、心を合わせて「未来の幸せをつくる自動車産業」「本当に頼りにされる自動車産業」を実現してまいりますのでメディアの方々も含め、多くの皆さまに、引き続き、応援いただければと思います。よろしくお願いいたします。

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