サプライズのワールドプレミアだったハイラックスEV、試作車ながら「このまんま売れるんじゃね?」

12月14日にワールドプレミアされたハイラックスEVの試作車をじっくりチェックすることができた。まずクルマの仕上がり状況だけれど、実車を見ると「これ市販車じゃない?」というくらいで驚く。もちろん20インチタイヤだったりフロントブレーキが対向4ポットだったりするなど、この手のクルマにありがちなドレスアップはされてます(対向ピストンは市販車も使う?)。

「あらま!」のが駆動系! 後輪駆動車でいながらモーターを横置きするという伝達効率の良いタイプにしており、当然ながら新設計! リアサスはリーフのままだけれどバネ下荷重少なく乗り心地という点で有利なド・ディオンアクスルを採用している。となると大いに気になるのがbZ4Xで顕著になったファイナルギア。bZ4Xの場合、ハイブリッド用を使うため明らかに精度不足。

モーターと駆動系が一体後続になっている

モーターはアクセル踏むと同時に最大トルク出す。ハイブリッドもモーターながら絶対的なトルクが小さく問題とならない。bZ4Xは精度不足によるバックラッシュをカバーするため、アクセル全開にしてもジンワリとトルクを掛けているのだった。乗ると違和感あります。この部分は『eアクスル』などと呼ばれ、各社専用の駆動系を開発しようとしている。ハイラックスはEV専用の駆動系です。

開発はタイ主体。ジラさんという人がチーフです

短い距離ながら味見できたのでアクセルのオンオフを試してみたら「いいね!」。トヨタの電気自動車がやっと世界水準になった。興味深いことにピックアップトラックにも関わらずめっぽう質感高く、しかもド・ディオンアクスルのためか乗り心地素晴らしい! 絶対的な加速力だってパワフルなディーゼルと同等レベル。トヨタが突如素晴らしい電気自動車を作ってしまった!

すでにインテリアもフィックスされているようだ。「働くクルマ」ということもあってナビ画面こそ大きくないが、フル液晶メーター付き。インパネだけ見るとピックアップに見えないです。バッテリーのタイプや搭載量などは公表されていないものの、試乗した時の「残走行距離」は260km程度だった。全開を繰り返していることを考えると、350kmくらいだろうか?

インテリアはすぐに市販可能なレベル

ハイラックスEVは来年タイで開催されるCOP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)に備え「地球環境を守るためできることからスピード感を持ってやっていきたい」という豊田章男社長の強い意志を受け、いくつかの二酸化炭素削減プロジェクトに投入されると思う。タイ国内だけでなくオーストラリアやニュージーランドといった大洋州からのニーズもあるという。

ハイラックスEVの面白さは普通のハイラックスのプラットフォームをそのまんま使っていることにあり、バッテリーもフレームの間に搭載している。GOが出ればすぐにでも量産できるワケ。寿命の長いリン酸リチウム電池などと組み合わせることで、かなり実用性の高い電気商用車になるかもしれない。電気自動車で出遅れた感のあるトヨタながら、隠れプロジェクトもあるってことです。

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2 Responses to “サプライズのワールドプレミアだったハイラックスEV、試作車ながら「このまんま売れるんじゃね?」”

  1. z151 サンバー愛好者 より:

    正解はひとつじゃない…トヨタが以前そう宣言しましたが、思いがけずこんなところに芽吹いたのでしょうか?

    bZ4Xがトヨタ(とスバルの)本格的BEVの本命だったとして、多分こんなこと言っちゃ可哀そうだけど、あんまり最近のトヨタらしい感じじゃなさそう。(乗っていませんが)
    「つまらないクルマの代表」時代のトヨタだって工作精度はバツグンでした。
    チリ(パネルとパネルの間隔)も最小でピッタリ揃っていたし。
    バックミラーから見える窓の下端ラインが新車でもガタガタなんてメーカーもあった時代の話ですが。

    駆動系のギアバッククラッシュ対策というマニアックな部分にBEVのキモがあるというのは激しく同意します。
    というのもラジコン組み立てで最も神経を使う部分だからです。
    それは今年の夏発表された最新のラリーシャーシでもそう。(購入検討中です)

    https://youtu.be/0z3tdNFS398?t=158

    ここが完全に日産やヒョンデに負けちゃっていて今現在見えてこない部分。
    短期間負けているのはまだ理解できるのですが、モータースポーツの世界だったら次戦までに改善策で臨む訳で。
    「負け嫌い」なトヨタが放置しているという事実が異常事態を知らせています。

    先月か先々月かに「トヨタはBEV施策を全面的に見直す」宣言がなされました。
    具体的な発表ではなかったように記憶していますが、開発主体を日本のトヨタ本社内に限定せず、タイのようにいいアイデアの開発があったらグローバルで採用していこうということなのかも。
    ハイラックスはトヨタのグローバル最量販車種のはず。
    こいつが「当たり」なら全世界のトヨタ量販車の未来は明るいと思います。

    外見上ICE車のEVコンバートにしか見えなかったけど、リアサスと駆動系に集中して新開発しているとか、他の部品は世界中に供給されている豊富な在庫やリビルト品を流用できることとか「先見性のある人」が舵取ってそうですね。

  2. cx-60 より:

    トヨタのEVプラットフォームは、いまのところPHEVやガソリン車と一緒に作りやすいところが足を引っ張っているらしいですが、ガソリン車からすればEvの部品を乗せやすいということになると!
    もともと頑丈なトラックシャシーですから、多少の重たいバッテリーやe-axleもへっちゃらでしょうな。
    インバーターやバッテリーは完全防水なので、洪水の多いところでも走りやすいかもしれません。エンジンは水を吸っちゃう恐れがありますけど、モータはそれは無いですから。

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