アブドラ国王の死去でガソリン価格上昇か?

世界最大の産油国であるサウジアラビアのアブドラ国王の死去により、原油相場が微妙な動きを見せている。1バレル=100ドルに戻ると読む企業すら出てきた。原油相場がダイレクトに反映されるガソリンを使う自動車業界はどう考えているだろう? 今後、ガソリンは高くなってしまうのだろうか。それとも今の傾向が続くだろうか。

ここ数年、サウジアラビアを筆頭とする産油国の生産調整により、原油価格はドンドン高くなっていた。一方、原油の消費量をみると北米大陸で急増したシェールガス(天然ガス。ガソリン代替可能なコンデンセートも含む)の流通量増加によりダブつき気味。したがって本来ならサウジアラビアが率先してさらなる生産調整を行わなければならなかった。

しかし死去したアブドラ国王は「このままだとシェールガスにシェアを取られてしまう」と危惧。実際、日本もエネルギー調達先を中東からアメリカに大きく切り替えようとしていた。シェールガスに市場を取られない唯一の方策は「シェールガスより安く原油を売る」ことしかない。採掘にコストが掛かるシェールガスは、1バレル=50ドルを割ると厳しい。

原油相場が50ドルを下回るようになればシェールガス勢とシェア争いをしなくて済む、ということです。つまり原油の価格を50ドル以下で良いと割り切ることにより、今後もサウジアラビア側に主導権が残ると言うこと。サウジアラビアの原油採掘コストは1バレル=数ドルと言われている。50ドルでも十分な利益を得られると考えたのだろう。

ただサウジアラビア以外の産油国は収入の低下に直結する。したがって産油国の多くがアブドラ国王に原油生産量の調整を頼んでいたのだった。「サルマン新国王の考え方次第で大きな変化出るでは」というのが文頭に書いた原油相場の揺らぎになっている。もし減産政策を打ち出せば、再び原油価格は1バレル=100ドルを目指す。

影響大きいのが日本である。160円程度だったガソリンは、円安のため、本来なら180円程度まで上昇してもおかしくなかった。けれど原油相場の低迷を受け、130円程度まで下落している。仮に1バレル=100ドルになったら180円になります。最新の情報では原油価格の決定に大きな影響力を持つ石油鉱物資源担当相が留任になったという。

故アブドラ国王の右腕だったヌイアミさんという人です。御存知の通りサウジアラビアは「国」というより「一族」の概念に近い。サウジアラビアという国名自体「サイド家のアラビア」という意味。サルマン新国王が今ままの政策を続けるなら、現在の原油相場は下を見て1年以上続くと考えていい。いずれにしろ1月末までには現状維持か刷新か解る。

現状維持ということいなれば、ガソリンは120円代が普通になり、燃料サーチャージもゼロになる。自動車業界はどう考えているか。皆さん「原油相場や為替にかかわらず、燃費の良いクルマを追求していく」。ガソリンが200円になっても、燃費2倍のクルマを作れば100円の時と同じガソリンコストになる。日本のユーザーも同じ考え方だと考えます。

ここにきて「原油安は好ましくない」みたいなことを書くメディアも出てきたが、資源輸入国にとって悪いことは一つもありません。強いて言えば「燃費の良いクルマを作る意欲がそがれる可能性出てくる」(アメリカでは再び大きくてパワフルなクルマが人気になっている)ということながら、東日本大震災以後、未だに節電を心がける日本をみると心配無用。

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