スカイアクティブ近況

大いに話題を集めたマツダの『スカイアクティブ』は、その後どうなっているのか? 最新情報など。まずガソリン。来年春にデミオで第一フェイズの技術を使った1,3リッターエンジンがデビューするのは間違いない。レギュラー仕様で10・15モード燃費30km/Lを目標にしていることも変わりなし。

2リッターのガソリンも2011年の秋に新型車と合わせて発表される計画。2リッターエンジンは試乗してみたけれど、最も驚いたのが常用回転域のトルク。アクセル全開するとノッキングするためトルクは出ないものの、低い回転域でアクセル開度少なければ高圧縮エンジ
ンの良さが明確に出る。

通常の速度域だとウソいつわり誇張無く、10〜15%くらい排気量の大きいエンジンのようなトルクを出す。これな
らアクセル開度少なくなるため燃費良くなるだろう。加えてエンジンブレーキの効きが極めて弱い。エンジンブレーキ=ポンピングロス。だから燃費良いディーゼルはエンジンブレーキが弱い。

しかも、さらなる進化系が控えていると言うから興味深い。トヨタのシステムを導入するマツダのハイブリッドは、第2フェイズのスカイアクティブと組み合わせるそうな。実用燃費でプリウスを超えることが目標とのこと。常用回転域での効率を追求出来るからハイブリッド用としても有利だと思う。

ディーゼルについては、すでに多くの同業者が試乗しており、高い評価を得ている。されどただ一人と
して指摘していない点があります。試乗後、排気ガスのにおいをチェックしてみたら、明らかにポスト新長期クリアレベルと違う。せいぜいユーロ5レベル。ポスト新長期クリアなら、ほぼ無臭です。

技術者に聞いてみた。すると「そうです。現時点ではユーロ5も難しいレベルです。ウソはつきたくないですから、この件について聞かれたら答えようと思っていました。3ヶ月目にしてやっと指摘されました」。ディーゼルの場合、言うまでもなく排気ガス規制をクリアすることこそ最大のハードル。

同業者の皆さんは口を揃えてスゴイスゴイ! と書いているが、なんですぐ発売しないのか不思議でならなかった。マツダによれば、見通しはついており2012年に発売出来るという。一方、エンジンとしてのポテンシャルはタイしたもの。新しいATもトルクの立ち上がりが遅いディーゼルと相性良い。 

ガソリンとディーゼルのスカイアクティブ、スゴイ技術だと思う。じゃマツダの業績がドカ
ンと上がるかとなれば、そうでもないだろう。素晴らしいエンジンを活かせる商品も作らなければならない。そのあたりについては鋭意取材中。週末のコリズムのコラムでキッチリ分析してみたいと思う。

一つだけ確実に言えるのは、このエンジンをトヨタが持っていたら、凄いことになるだろう。今やシオシオの状況になっているヨーロッパで勝負することだって可能かもしれない。それくらい画期的なエンジンだということは間違いないと考える。この技術をどうビジネスに結びつけるか、だ。

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9 Responses to “スカイアクティブ近況”

  1. みつ より:

    単純かもしれませんが、
    THSにSKYアクティブを組み合わせたら燃費は一番になりそうに思えます。
    更には、アクセラHVより踏み込んで、ヴィッツ級HVにSKY-Gを搭載すれば凄い車になるであろうとは誰しもが想像しそうな考えかと思えます。
    トヨタとマツダがもし組んだら、他社は燃費という分野では太刀打ち出来ないのではないでしょうか。
    SKYアクティブを他社に供給しても良いとマツダ側も言っている訳ですし有り得ない話しではないでしょう。
    というより、そう願いたいです。映画版『ハゲタカ』ではないですが、中国ではマツダ車は人気あるそうですし、もし中国資本にこの技術が渡ったら、と思うと日本の自動車分野も廃れて行きそうな気がするといえば大げさでしょうか。
    日本車は、トヨタ連合、日産三菱連合、ホンダ、スズキと4つのグループに大きく集約されてゆくのではと想像しています。

  2. Ford より:

    すべてがこのファクトでSky技術はだめだと判断できます。そのファクト、そうフォードがマツダの株を手放した。
    マツダの触れ込みほどが事実なら、環境とエコをせまられてるフォードが放すはずがない。
    トヨタ傘下になれなければ、中国資本の餌食でしょう。

  3. 真鍋清 より:

    マツダも凄い隠し玉を持ったものだ、SKY-Gエンジンにトヨタ譲りのTHSハイブリッドシステム、製品化されれば燃費と熱効率の王者になることが期待できよう。半球形を極めたコンパクト燃焼室、タコ足排気による低中回転域での強力なスワールやCO/HCの排出抑制力と相まって。
    ただ一方でディーゼル版たるSKY-Dにはどこか失望させられる、何せユーロ5すら達成が困難なのだから。この分だと排ガスがその先進的でクリーンな「イメージ」とはどうにも相容れない「ほとんどお酢か梅干並みの」酸味臭がすることが予想されよう(※そうです、小生は筋金入りの「酸っぱい物」アレルギーなのです!寿司からトラックの排ガスの匂いまで)。
    そうした意味で日産エクストレイルのルノー製2.0Lディーゼルを筆頭に、メルセデスE350ブルーテック、さらには三菱パジェロの3.2L四気筒ディーゼルまでポスト新長期規制適応のユニットには素直に敬意を払わざるを得ない。
    マツダもある意味、ディーゼルエンジンを継子扱いしている節もまんざらゼロとは見えず、ポスト新長期規制に適応させて本物に次ぐ本物に仕上げて我が国にも送り出してもらいたい、そして「草木もハイブリッドになびく」我が国クリーンエンジン事情に強力な一石を投じてもらいたい。

  4. tm256 より:

    あくまでも個人的な考えです。
    SkyActiveの技術というのは、例えて言うなら、CDが初めて市場に出てきた頃に、どこかのメーカーが出した凄い音質が良いアナログのレコードプレイヤーみたいなものじゃないかと。
    あるいは、デジカメが初めて市場に出始めた頃にどこかのメーカーが出した「凄い画質が良い銀塩カメラ」でも良いです。
    どんなに優れた技術であっても、時代の流れに抗うことは難しい。だから、市場や投資家もなかなか評価しないのではないでしょうか。
    技術だけでは事業がうまく行かないことも、日本で幾多の失敗例が証明済みです。
    国沢先生の最後の行「この技術をどうビジネスに結びつけるか、だ。」にすべては集約されていると思います。
    さらに、クルマの電動化は、ほぼ間違いなく自動車産業の構造変革を迫るものだし、スマートグリッドの要素(=タイヤの付いた蓄電池)になりうるという点からはエネルギー産業の構造を一変させる可能性もあります。
    内燃機関(=100年前に発明された技術)だけにこだわり続けると、そういう巨大な変革の波から取り残されるリスクがあるということです。もちろん、今すぐにエンジンが全然使われなくなる訳ではありませんが・・・

  5. nobu より:

    〈フォードがマツダの株を手放した。〉
    この程度の事で、何故?断言出来るのだろう?
    フォードがそんな慧眼の持ち主なら、世界一に成っている筈。
    そもそも、リーマンショックに遭わない。
    日本のカリスマ相場師は予言しました。
    がっちりマンデーと言う番組での、株価予想でこの暴落を予想しました。
    Ford さんは基本的に、自分の頭で考えていない。
    誰かが言うからは、此処では止めましょう。
    人の言う事は疑って、自分なりに検証して信用しましょう。
    それが『コイズミ』の様な、ペテン師に騙されないコツです。
    僕は、トヨタはエンジンにコダワリは無いと思います。
    何故なら、YAMAHAエンジンは使い続けているし。
    ダイハツ・日野・スバル、使っていますよね?全エンジン。
    マツダのYAMAHAチューン素敵です。
    環境技術はトヨタの協力が有れば、すごい進化をとげると思います。
    排気再循環(Exhaust Gas Recirculation)は、トヨタが量産型エンジンで使える技術にしたのです。
    巷のヒョウロンカはこれを、高く評価していませんが。
    スカイアクティブは、本当に実燃費で良い数字をゲット出来ているのでしょうか?
    フーガハイブリットみたいに、ハッタリ燃費でないのか?

  6. さね より:

    やっぱり凄い技術なんですね。ハイブリッドも結局はエンジンの効率が大切とゆうことですか。 日本車は電化ばかりに資源を集中してミッションやまだ続きそうな動力のエンジンをおろそかにしすぎですよねマツダ意外。 マツダは電化が資金関係でできないのだろうし。 これからは日本メーカー間の分業、協力で世界に打って出ればいいけど。そうもいかないんだろうなァ。 スカイアクティブが偉いのはシャーシーの軽量化からサスペンションすべて含めて進化を考えてるとこだと思います。できればトヨタ化されないようホンダ辺りと組めば嬉しいです。FRのノウハウもマツダはあるだろうしFFの技術の融合も進化しそうだけど。まあそんなダイナミックな目先の金儲けならないことはしないな

  7. アミーゴ5号 より:

    温暖化問題とは関係ないように、内燃機関の車は、中国やインドで爆発的に広まっています。
    トヨタも日産もホンダも、何十何百万台の車を販売し、その幾ばくかの恩恵を日本経済も受けています。
    日本国内でのエコイメージとは裏腹に、新興国では、安価な内燃機関が席巻しています。この傾向は、まだまだ続くでしょう。
    その内燃機関を磨きあげようとするマツダの試みは、本当に素晴らしいと思っています。
    スカイアクティブ技術が、第2ステージで完成し、世界中の内燃機関に採用されたら、どれだけ環境に貢献できるでしょう。
    マツダの技術とビジネスセンスに超期待です。
    がんばれマツダ!トヨタの包容力にも期待です!

  8. engine より:

    マツダのスポーツモデルを使用しているengineですが
    マツダの目の付け所は正しく凄いです
    本来であればエンジンに拘りあるBMWやホンダがすべきでしょうが
    世界のプレーヤーの中でマイナーなマツダがやったことが素晴らしい
    目を引きやすい次世代エネルギーが全てじゃない!
    庶民でもお金が無くても甘受できるところから始めなきゃ

  9. ゴウ より:

    来春MCのデミオでただ一点気がかりなのは、MCによってせっかく完成度の高いデミオのデザインが劣化しないかという点です(MCでデザインが劣化する車が多いので…)。MCですからエクステリアの大幅な変更はないと思いますが、口元がアテンザみたいな海外デミオ(mazda2)に変更されたら、かなり痛いです。「国内デミオのデザインの方がカッコイイ」国沢さんからも言っておいて下さい。

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