マーチのスゴさとヨワさ

新型マーチで最も気になっていたのは、高価な補機を使っていないアイドルストップ装置の仕上がり具合である。これまでアイドルストップと言えば、ミラの如く「キャパシタ」を使うか、ヴィッツのように専用バッテリーを装備するか、アクセラ的な直噴+2個のバッテリーというシステムを組むか、だった。

されどそういった補機類を使っても、快適性が大きく損なわれてしまっていた。鳴り物入りで登場したマツダの
『i-stop』でさえ、エンジン始動時の違和感は大きく残っています。もっと正確に書くと、13,6馬力の大出力セルモーター使うインサイトですら「エンジン始動〜発進」までのスムースさが出せていない。

インサイトもi-stopも、Dレンジで停止中からスタートまでの「行程」(ブレーキ離してエンジン始動。クラッチが うにゅ と繋がりスタンバイするまでの時間)が気持ち長いのだ。通常の感覚でブレーキ離してアクセル踏むと、クラッチ繋がるタイミングとダブッてしまうため相当の違和感あります。

新型マーチはいかに? 早速試してみたら驚いた! インサイトより「エンジン始動〜発
進」までのストレスが少ないのだ。エンジン始動時の滑らかさも、セルモーター使ってクランクの位置まで決めているというマツダのi-stopよりずっと上。何より始動時の音が小さい。音楽聞いてたら気にならない?

セルモーターやバッテリーの耐久性については開発担当者が居なかったこともあり未取材ながら、これで普通の寿命を確保できていたなら100%文句なし! 世界で初めて実用レベルに達しているアイドルストップシステムだと思う。唯一改良すべきはエアコンの風量を停止時に下げることくらいです。

しかも車体が軽いとはいえ、実用燃費でインサイトといい勝負なんだからタイしたもの。90km/L巡航燃費で24km/L程度。混雑した街中で15〜18km/Lといったイメージ。アイドルストップに毛が生えた程度(毛は生えないです)のホンダ式ハイブリッドシステムよりずっとリーズナブルかと。

1年半くらい前に「2010年になると安価なアイドルストップが続々登場してくる」と書いた。今回マーチに採用されたのはその第一弾。このくらいの仕上がりなら、急速に普及していくことだろう。
こうなると惜しいのが車体関係の仕上がり。日本仕様も予想以上の凄さに「う〜ん!」の連発でございました。

例えばボンネットとフェンダー
の隙間にコイン4枚重ねたまま入ってしまう。タイヤも走り出した途端、イマドキ珍しいくらいゴーゴーと音を出す。緻密なアイドルストップと好対照で大いに楽しませていただきました。これを許せるなら燃費はよいです。詳しくは明日アップの試乗レポートで紹介した
い。

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4 Responses to “マーチのスゴさとヨワさ”

  1. 読者 より:

    タイヤが現地品とのことですが、日本で売られているハイブリッドや省燃費車で使われている、日本製の省燃費タイヤを履かせれば、それだけで燃費がもっと良くなるかもしれませんね。
    テストしてみてください。
    下手すりゃ、逆転の可能性は無いのでしょうか。

  2. ゲイン より:

    タイ製マーチは駄目な車と思っていたら、案外良い所もあったんですね。
    そんなに完成度の高いアイドリングストップを搭載出来るとは流石、技術の日産ですね。
    それにしても昨今は優れた技術を誇るユニットがコストカットされた車体に搭載されるのが
    流行なんですかね?国産のプリウスでもそう感じます。THSは最高なんですけどね。

  3. ぱんだねこ より:

    こんばんは。
    インサイトのアイドルストップから発進までの違和感は、はやり自動クラッチを使っているからなのでしょうか?初代フィットはトルコンでなくインサイトのようなクラッチでしたが、距離が数万キロになるとクレームが多かったと聞きました。
    エンジンが軽くて小さいから功を奏していると思うのですが、その優秀なインドルストップに免じてボンネットの隙間は良しとしていいと思います。高級車ではないのですから。
    普通のガソリン車に燃費で並ばれてしまうとインサイトはつらいですね。なぜ、モータのみで走行とか発進をできるようにしなかったのか、コストなのか制御なのか。フィットハイブリッドがうわさより少し遅れて(夏から秋へ)来るのは、そのへんを解決してくるのか。興味があります。

  4. 真鍋清 より:

    今回のタイ製マーチほど長所と短所が凸凹な一台も珍しいと思う。
    このマーチの裏側に見える日産側の本音と建前の葛藤を見るに、ダイハツ・イースやスズキの新型アルトを筆頭とする数種類の軽自動車のほうがはるかに健全で愉しいチョイスとさえ思える。
    小生自身、それでなくとも今世紀初頭のある日、某高速を時速120-130km/hで巡航する我が1999年式トヨタヴィッツ1000F-D(70ps/9.7kgm)を目視で160にも及ぶ高速でぶち抜いていった「飛島建設現場作業員」操る1994年頃のダイハツミラターボ・TR-XXアヴァンツアート(660ccターボ64ps)の思い出が脳裏に鮮明にフラッシュバックしてならない。
    あの時のミラターボの火の玉小僧ぶりに舌を巻かされるのと同時に、同車を機敏に走らせる「ヘルメット姿の飛島建設兄さん」の姿がピタリとマッチし、その颯爽ぶりは一つの文化を感じさせると思いました。「できる男のすばしこい豆ロケット、それが軽ターボ」という感じで。
    ふやけたコンセプト&スタイルの新型マーチを見てもどこと言ってドラマ性は感じず、安普請なイメージばかりが先走りしてしまう、その点ダイハツイースの登場とそこに二段階式ターボでも搭載されたら…..と考えるに何とも日本的な粋が感じられ、それがスズキのアルトにも何か隠し玉があるのでは、と予感させられるほどに軽セダンの世界は此処へ来て楽しみになっているのだ。

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