43km/Lになる?

トヨタは秋にデビューするフィット・ハイブリッドの価格に注目しているのだろう。なんせ今年の早い時期から「2011年11月に発売予定のヴィッツ級ハイブリッドの価格を150万円程度に設定する」という情報を流し始めたほど。そして昨日夕方の『asahi.com』を見たら、10・15モード燃費は43km/Lだという。

記事を書いたのはプリウスの価格をスクープした中川さんという記者。もちろん現時点で43km/Lというのは確定値じゃないけれど、達成可能な開発目標だと思われる。ベストカーの達人コラムで書いた通り(フィット・ハイブリッドの価格について分析した)、40km/L以上であることは間違いない。

このニュース、フィット・ハイブリッドだけでなく日産に対する牽制にもなった。122万円のアイドルストップ付きマーチは26km/Lを前面に押し出し燃費の良さをアピールしているが、43km/Lという数字を見たらタイしたことない。加えて28万円という価格差、燃料代の差額で完全に吸収出来る。

ヴィッツ級ハイブリッドの情報って、デビューまで1年以上前なのにたくさん出てくる。現時点で解っていないのはデザインくらいのもの。エンジンは2代目プリウスの1,5リッターをベースに熱効率を向上させながらコストダウン。モーターやインバーターは新しい世代のタイプを採用し、これまた性能アップ。

そうそう。ハイブリッドシステムはホンダのような簡易型の1モーターになると思っているライバルメーカーの人も多いようだけれど、いわゆるTHS-2でプリウスと全く同じ本格的な2モーターです。バッテリーは宮城工場で生産するニッケル水素。容量を少し減らしてコストダウン&省スペース化する。

プリウス級くらいまでの重量のハイブリッド車の場合、現時点ではリチウムイオンバッテリーよりニッケル水素の方が総合的に評価すると優れているのだ。おそらくヴィッツ級ハイブリッドのバッテリー調達コスト、ケース込みで5万円程度に収まっていることだろう。寿命20万km/10年以上。

コンパクトカーはヴィッツ級ハイブリッドのデビューで大変動が起きるとだろう。このクラスの購入を考えており、来年の11月まで待てるなら迷うこと無し! 唯一の例外はホンダが「勝負!」に出てフィット・ハイブリッドを私の予想価格である139万円で出してくるようなケース。十分あり得ると思ってます。

もし122万円のマーチの売れ行きが順調でフィットのシェアを喰うようなら、ホンダも日産を牽制すべく早い段階でフィット・ハイブリッドの価格をリークしてくるだろう。このあたりの微妙な駆け引きを楽しみにしたい。

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追記・新型マーチに装着されているタイヤだけれど、日本で販売するのはファルケン(タイ工場製)だけだと思っていたら、タイで見た「どこの会社じゃコレ?」の『マキシス』(台湾のブランド)もあるという。ウなりました。詳しくは永田が書いた『新型マーチの驚き』をご参照のこと。

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8 Responses to “43km/Lになる?”

  1. ドン より:

    43km/Lとは驚愕です。すごい時代になりましたね。
    しかし、マーチとの差額、28万円を吸収出来るかは疑問です。
    仮にガソリンの値上がりを想定してリッター平均150円だとして、
    カタログ値の燃費で計算すると12万km、実燃費が3割減くらいと計算しても10万kmでイーブンですよね?
    ヴィッツやマーチのユーザーで、それ程の走行距離乗る人ってあまり多くは無い気がしますが。
    半分の15万円差くらいなら圧倒的有利な気もします。

  2. ぱんだねこ より:

    こんばんは。
    フィット・ハイブリッドの価格は難しくなりましたね。このままでは、インサイトや次期シビックハイブリッドの立場も危ういです。
    小型EVのないトヨタは、ヴィッツのHEVはこの値段でばら撒かないと競争にならないのでしょうか?ここ10年間で培ったHEVに自信があるのか、とにかく売って投資費用や開発費用を回収しなければならないのか。
    後者だとしたら、車の開発は相当お金が掛かるものになってしまった、その分EVをテスラ頼み(?)にしなければならなかったということでしょうか。
    アメリカでインサイトが不発だったホンダは、ますます自信をなくしてしまうでしょう。その分安くしてくれれば、フィットのHEVでもOKです(^^;

  3. ゲイン より:

    正直凄い時代ですね。現行プリウスの価格にも驚きましたが、150万円程とは驚きです。
    コンパクトカー+THS-2って最高の組み合わせじゃないかと思います。THS-2よりコンパクトカーに向いたエンジンってありますかね?
    EVのような滑らかな加速感・・・おそらく現在EV車を予算的に購入出来ない購買層を虜にすると思います。街乗りメインだと相当静かな車ですし、試乗したら即ハンコかと思われます。(音出し義務化は気がかりですが)
    パワフルな車からプリウスに乗り換えても満足してる人も多いです。(私もその一人です。)コンパクトカーからの乗り換えだと不満なんて微塵もないかと思います。
    フィットHVも価格で頑張れば売れると思いますが
    現在はフィット>ヴィッツですが
    ヴィッツ級HV>フィットHVとなるんじゃないでしょうか。
    ですが、こういう時代が来ると日産(タイ産)マーチではリセールまで考えると勝負にならないんじゃないでしょうか。
    マーチは日本市場から退散(タイ産)して海外市場向けのエントリーカーとしてしか生き残れないかもしれませんね。

  4. tm256 より:

    このヴィッツ級HV、トヨタの「世界戦略車」になるのではないでしょうか。
    私がそう思う理由はこのクルマの燃費43km/Lが、マイル/ガロン(MPG)だとちょうど100MPG位になるからです。つまり、トヨタの「100MPGカー」としてアメリカを含めたグローバルな売り込みが展開できることになります。
    もちろん、北米向けだとコンパクト車はあまり一般的ではないかもしれませんが・・・
    ただ、中国やインドなどアジアなら日本と同じ感覚で体格も似たようなものなので、150万円位なら、中流より上で環境意識の高い消費者に大ヒットしそうな気がします。
    欧米でも背があまり高くない人や肥満でない人になら相当売れるかな。
    それにしてもNiMH電池ベースのHVパワートレインと軽量化だけでこれだけの燃費を叩き出せるというのは、やっぱりトヨタという会社は凄いですね。
    日産はEV専用車リーフでグローバルに勝負するという明確な戦略がありますが、ホンダはFCXじゃまだ量産なんて出来ないしHVでの競争からEVへの戦略転換を図る必要すら出てくるかも・・・

  5. Ton より:

    プリウスの10・15モード燃費って38km/L ですよね。とすればヴィッツ級ハイブリッドの43km/L も妥当なところかもしれませんが、プリウスの実燃費と比較すれば、ヴィッツ級ハイブリッドの実燃費も想像がつきますね。
    不勉強で推定の話ですが、おそらく10・15モード燃費ってテスト前とテスト後のバッテリ残量って不問なのではないでしょうか。つまり試験前はバッテリ満充電で、試験中はなるべくガソリンを使わずに、バッテリをギリギリまで使い、試験後にはバッテリが空になるようにコンピュータを設定しておく。それも試験モードの時だけそうなるようにしておく訳です。燃費計測の走行距離が少なければ、かなりの部分バッテリだけで走れますので、相当に効きそうです。もしそうだとすれば、そんな燃費ズルくないですか?
    試験でズルしてる子と比較されるマーチはかわいそう。
    多分に推定で物を言ってしまいましたが、大きく外してはいない気がします。(私は日産ユーザーですが、決して日産関係者ではないです。)

  6. 真鍋清 より:

    43km/lとは凄まじい!
    まるで小生の愛機・2004年式ヴィッツ1300U-Lが浦島太郎に見えてしまうのだから技術革新は並大抵でなかろう。
    このトヨタの新型ハイブリッド、ヴィッツと同サイズですが、重量も通常のガソリン仕様のヴィッツと同等(1トン強)にしてCd値が0.24程度だとすればそれは大きなエポックで、ハイブリッドの世界に新境地を築くのではないでしょうか。
    現状のホンダ・インサイトはCd値0.29となっており、シングルモーター&軽量の魅力を生かし切っていないパッケージングや走行性だと思うので、ホンダ側も相当の改良をしなければ同クラスにおいてトヨタ側に一方的にやられてしまうのは明白かと思います。フィットHV頼みのホンダという見方もできますが、インサイトの処遇をどうするか気がかりな点も見え隠れします。
    一方、トヨタの新型Bセグメント・ハイブリッド車、日本国内だけにとどまらず大気汚染が慢性化している中国でも現地生産・販売すれば一定の支持を得られるのではないかと確信できます。まあ中国は40年前の高度成長時代の日本と事情が似ているため「大きいことは良いことだ」の風潮の下中流ヤッピーにはCセグメントの1.8Lクラス・4ドアセダン(カローラやシビックを筆頭に現行VWジェッタ<現地名サジター>から上海GMシボレー・クルーズまで)がもてはやされ、その下の層にはトヨタ自身のヴィオス(ヴィッツベース)やホンダシティ等の1500ccガソリンエンジンの4.3m級3ボックス車が高い支持率を受けている以上はハイブリッド車も爆発的人気に至らないことは事実です。
    ただ、そうした市場様相の中でもある種の層の間からハイブリッドの底知れぬ潜在性・設計思想が熱烈に共感され「砂に水がしみこむが如く」評価・売れ行きが広まっていくのだとすればトヨタは先駆者利益を得る格好となり、目下現地生産の先代プリウスが不振だからといって投げ出さずにヴィッツ級ハイブリッドもじっくり腰を据えて中国でも定着させる努力が必要なのではないでしょうか。

  7. Fufuhu より:

    ジュークの実物が走っているのを近所の国道にて確認しました。友人が一緒に車に乗っていたので「どうあれ?」と聞いたら「悪くないんじゃない?」と言ってました。
    私が「なんか筋トレしまくったマーチみたいだよね」と言ったら爆笑でしたが。

  8. ごとごと より:

    43km/h はすばらしいですね。
    ( ただ走行距離が少ない人は、あまり意味がない??? (トータルコスト的にも環境的にも)
     (今の大規模なエコカー減税が始まる前(?))ハイブリッド車などだけが補助されていたとき、
    年間6000km以下の人は補助が出ない(効果がないので)と聞きましたが、
     どの程度の走行距離なら、環境的に効果があるのでしょうか。
     (バッテリ廃棄などの環境負荷などと比べたとき) )
    ただどちらかといえば、燃費があまり良くなく 走行距離が多そうな、ミニバンや高級車などを、早くこのような技術で燃費を良くしていってもらいたいです。
    ( ミニバンは空気抵抗が大きいので、ハイブリッド化してもあまり燃費が良くならない??? )
    営業車などもあるし、ヴィッツやフィットで長距離を走る人も多いのかな?

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