環境を考えるならハイブリッド?

電気自動車はECOだと考えている人が多い。確かに原発や風力、太陽光など化石燃料以外で作った電力で走れば二酸化炭素の
排出量少ないです。しかし。今の日本の如く火力発電所だと完全にアウト! プリウスとリーフを比べればプリウスの勝ちとなる。以下、もう少し詳しいデータ
を挙げて説明してみたい。

リーフを7km走らせるために使う1kWhの電力を作るときに排出する二酸化炭素は、最も原子力発電比率が多かった関西電力で294g。すなわち関西電力の電気使ってリーフを1km走らせると、42gの二酸化炭素を排出することになる。一方、21km/Lのプリ
ウスを1km走らせると110gの二酸化炭素を出す。

リーフ優勢。しかし。全量を火力発電に頼る沖縄電力の場合、1kWhを発電するのに
930gもの二酸化炭素を出す。1kWhで7km走るリーフなら、1km走行するのに133gの二酸化炭素を排出してしまう。環境にやさしい=二酸化炭素の排出量が少ないというなら、沖縄で走っているリーフなんか全くダメでしょう。

今や原子力発電所は10%しか稼働していない。おそらく日本中でプリウスよりリーフの方が二酸化炭素は多く排出していると思う。原発が全て停止になる今年の春以降、二酸化炭素の排出量を考えるなら実燃費で
20km/Lを超えるクルマにECOカーとしての補助金を出すべき。じゃ電気自動車ってダメか?

そんなことありません。今後二酸化炭素は環境問題でなくエネルギー問題になっていく。電力なら様々なエネルギー源を使える。太陽光発電すらバッテリーと組み合わせて使うと実用的になるから素晴らしい。以上、ここまでは本題でなく前置きです。私が本日書きたいの、電気自動車の弱点である暖房。

暖房の効率を考えるなら灯油を使った
FFファンヒーターが圧倒的に効率よい。マイナス20度だって全く苦にならず、吹雪で通行止めになった時も長時間暖房可能。技術的にもコスト的にも全く問題ない。なんで使わないのか、と聞くと日産も三菱自動車もホンダもトヨタも「二酸化炭素を出すから」と答える。

笑えると思わないだろうか。少なくとも日本では電気自動車の電費を一段と悪化させる今のヒーターより(電費30%落ちれば1kmあたりの二酸化炭素排出量は14km/Lのガソリ
ン車より多くなる)、1時間あたり100ccの軽油を燃やす燃焼式ヒーターの方がずっと二酸化炭素の排出量が少なくなるのだった。

また、
寒冷地仕様に燃焼式ヒーターを装備出来るなら、東京のような地域は家庭用エアコンと同じ熱効率の良いヒートポンプ式で十分(外気温5度くらいから効率落ち始め、マイナスになると使えなくなってしまう)。極寒時を考えるからヒートポンプ式を採用できないのである(現代自動車はヒートポンプ式らしい)。

電気自動車は環境問題を解決する技術じゃない。エネルギー問題の解決に有効な技術なのだ。私のWebを読んで頂いているクルマ通の皆さんなら解って頂けると思います。

・ECOカージアジア「マツダCX-5ディーゼルの価格判明

<おすすめ記事>

12 Responses to “環境を考えるならハイブリッド?”

  1. 黒リーフ より:

    実際に日産リーフを走らせています。
    暖房を使用する時期になって、内燃機関を積んでいないEVの室内の寒さにはチョットした驚きがありました。
    外気温が0°付近に差し掛かるとスノボの時の装備でも長時間の運転は厳しい・・・・。
    現在のPTO素子でクーラントを沸かすシステムの暖房ではリチウムイオンバッテリーの電力の消費が多すぎて実用車としては使い物にならないと言っても過言ではありません。
    そんな事はメーカーも承知なハズ。
    二酸化炭素を一切排出しない!! 
    なんて売り文句を使えなくなる事がそんなに問題なんでしょうか。
    何らかの燃料で効率よく暖房し、リチウムイオンバッテリーは走行だけに使えるようにしてくれることを切に願います。
    先日、中央道で長時間の通行止めで3時間以上立ち往生させられたことがあります。もし黒リーフだったら寒さに耐えられたかどうか・・・・・。
    EVは近い将来の化石燃料の枯渇を考えると、次世代の移動手段の有力な1つだと考えます。だからこそ、変なメンツに拘ることなく真の実用車に育て上げて頂きたいと思っています。

  2. さんぼん より:

    CO2排出量という点でみれば
    水力の豊富なブラジルや原子力のフランスを除けば、
    内燃機関車とEVでは大きく差がないのかも知れません。
    エネルギー問題で言うと、
    再生可能エネルギーによる発電が確立すればEV、
    一方でバイオ燃料技術が発展し、低コスト、大量生産が可能になれば
    内燃機関も生き残るのでしょう。
    それぞれの国で自動車、発電の技術レベル、環境が異なります。
    自動車メーカーにとっては、限られたリソースの中で、
    これからの研究開発を
    どれか一つに絞るのか、それとも幅広く取り組むのか、
    難しい判断に迫られているのではないでしょうか?

  3. さね より:

    CO2排出に敏感なんですねぇ。エネルギー問題なのは納得です。自分が知りたいのは温暖化問題は本当の真実です。いろいろな学説があって無知な自分には、どれが本当なのかわかりません! 単なる商売なのか?それとも人類が地球滅亡に追いやってるのか?はたまた地球自体が環境変化しつつあるのか? 個人的願望と信じたいのは、勝手に地球自体の環境変化と思ってますけど。大体人間自体CO2を出すし人口は65億まで膨れてますし、人口が増え続けてくのも地球環境のひとつだと思うし。中には人間自体増え続けるのは、文明が発達したこと、エネルギーに関しては森林伐採や、石化燃料を使う人類の文明がいけない!と思う人も正しいとも思います。しかし地球の45億年の歴史で、繁栄を極ながら環境要因、自らの生態などで消えていった動植物は数えきれないほどいて、中には進化して生き残り現在にいたります。人類諸悪説ならそれもまた自然の成り行きだし、消えていく種なんでしょう。それとも進化するのか? 話はそれましたけど、自動車やいろんな製品や企業自体のCO2削減は人類の進化だと思いたいです。エネルギー問題、地球の環境変化を解決していく進化の過程だと。てゆうことで我が国のエネルギー政策をきちんと未来を見据えてやらないと… その場しのぎのようにしか感じられませんし、地震津波大国として原発問題もどうするのかよーく考えないと、すべてのいろんな自動車も困りますよね。人類諸悪説の人は乗らなきゃいいですけど。個人的には原発は今の科学レベルでは必要悪だと思います。絶対反対なのも分かりますけど科学の進歩を信じています。どだい我が国日本は土地も狭いし、資源も乏しい国なので政府や政治家、高級官僚のみなさんはちゃんと考えて仕事しろ。 後、現在ハイブリッド車だけがエネルギー問題を解決するのに近い自動車とは思えないです。シンプルなガソリンやそれ以外のエネルギーを燃やす内燃機関車のほうが今はハイブリッド車よりマシだと感じてます。

  4. G35X より:

    仰るとおり多くの人が環境問題とエネルギー問題をゴッチャにしていますね。 東電の原発事故により節電が叫ばれたのは電力の供給不足による大停電や持ち回り停電を防ぐためですが、いつの間にか環境保護を主張する人たちに問題を利用され常時節電にすり替えられ、夜間電力が余っている時でも寒いのを我慢するのが美徳とされてしまいました。 車の場合、同じ重量とCD値、正面投影面積の車であれば、電気であろうとガソリンであろうとその必要熱量は変らないことを理解できない一般ジャーナリストがいます。 電気の場合、熱効率は発電端投入熱量と消費時発生熱量の比として0.408(資源エネルギー庁)が使われていますが、電気自動車の場合はさらにこれから充放電時とインバーター損失も考慮しなければならず熱効率は40パーセントを下回ります。 一方、HV車の場合、通常ガソリン車の熱効率を25パーセントとするとHV車ではその燃費が1.7倍伸びるとして(リッター12キロ対リッター20キロ)ガソリン換算の熱効率は40パーセントを上回ります。 どちらの数字も不確定要素がありますが、HVの方が有利と言えるのではないでしょうか? さらに今後HV搭載の電池の容量を増やしブレーキエネルギー回生時に電池満電による無駄を少なくすることができれば効率はより向上します。また、エンジンそのものの効率も僅かずつでも改良をコツコツ重ねればまだ向上の余地があるはずです。 HV車の将来は明るいと言えます。

  5. 那須与一 より:

    >日産も三菱自動車もホンダもトヨタも
    ええっ!トヨタはともかく、三菱と日産はEV中心のメーカーなんだからマズイですよね?それとも実はメーカーもEVは寒冷地や地方では向かないと認めている証拠でしょうか?そうすると、現実的じゃないとEVを否定してきたトヨタって素直なんだな。と逆説的に思ってしまいます。(笑)
    厳寒地なので冬になるとEVを悩んでしまいます。ミライースの方が費用対効果が大きいのしょうか。クルマは生活の必需品なんで、Co2削減なんて正直考えたことは無いのです...。

  6. 小林 英弘 より:

    なるほどですね〜。だとしたら…先日アクアに試乗した後にショールームで色々説明されましたが、その時の「へぇ!シートヒーターまであるんですね!」「はい。エアコンはエンジンを回すので燃費が悪くなりますが、シートヒーターは電気ですので燃費は悪くなりません」の会話って…どうなんでしょう?(笑)。このシートヒーターの考え方の延長線上に電気自動車の暖房に対する各メーカーの考え方があるのですね。面白いですね〜。
    PS:国沢さん、昨夜はありがとうございました。あなたは人物ですね。さすがに多くの方々に「御大」「師匠」と呼ばれる理由が分かった気がします。

  7. tonpochi より:

    そもそも何で電気自動車の充電に深夜電力割引にならないのでしょうか?これをやらないから昼間に急速充電やることになってしまいます。
    急速充電は、大電流を使用するために同じ地域の電圧変動率が大きくなるために1ヶ所に設置できる件数が制限されています。
    このため電気自動車が増えてくるとおのずと充電設備は不足してしまいます。なので、EVの充電は深夜にすることをスタンダードにしなくてはならないのです。そして、昼間の充電も極力太陽光パネル等で発電した電気で充電すべきなのです。
    あと、1Kwの電力をリチュームイオン電池に充電したときに、1Kwの出力は取り出せません。当然ロスがありそれは充電時に熱となって放出されます。
    そこで、この熱を水で冷やし、暖まった水を利用すれば効率的な暖房装置として利用できるのではないでしょうか?
    コウジェネ的発想です。

  8. ヒーター より:

    すでに国沢さん検討されていると思ぃますが、外燃式ヒーターメーカーもリーフ向け試作していると思います。
    そしていずれ日産からオプションまたは標準でリーフに装備されるでしょう。さもないとE Vの将来はないでしょう。

  9. 青リーフ より:

    まさに書かれているようにいろんなエネルギーで発電された電力を使えるというのがEVの良いところですね!
    リーフに乗っててヒーターの電費悪化は数%かなと思います。それよりは先日書かれてたようにタイヤの影響が大きいような気がします。

  10. tonpochi より:

    脱原発の動きがフランスまで及んでいます。
    ※日経ビシネスの記事引用
     今年4月の大統領選前にサルコジ氏の対立候補のオランド氏が、脱原発を主張して人気を集める緑の党との選挙協力を取りつけるために、原発半減を打ち出した。
    http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120119/226293/?P=1
    脱原発の動きは、世界規模で進んでいます。こうなってくると原発代替発電です。太陽光発電、風力発電、バイオマス発電・・・
    よその国と同じことをしていたのでは、脳がありませんし、原発に替わるエネルギー量を確保できません。
    日本は自然エネルギーの宝庫です。なかでも全国どこにでも海、これを利用しない手はないでしょう。
    例えば、潮力、潮流、海洋温度差これらを世界に先駆けて開発して行けば日本が世界のリーダーとなります。
    そのためには、官僚の腹話術人形のようなオタンコ鰌さんは早く退いて頂く必要があります。

  11. じーさん より:

    全くの同感です。関連したトピックスとして、世田谷区が区の施設で使う電力を東京電力以外から供給する方針(業者は入札で決定。経費削減にも)だそうです。個人的には素晴らしいニュースだと思いますが、どうでしょうか?

  12. 個人タクシー運転手☆プラグインハイブリッド車について より:

    はじめまして、横浜で個人タクシーの運転手をしています。
    ベストカーのハイブリッド車記事が面白くて、ベストカー読者になりました。
    プラグインハイブリッド車は燃費だけなら個人タクシー車両に向いてます!!
    なぜなら横浜市内の個人タクシー車両は年間40000万キロ。
    都内の個人タクシー車両だったら年間65000キロほど走りますから。
    ただ、プラグインハイブリッド車は5~6年持つのか?
    車両が小さい!!
    後席が貧相だ。
    等らの理由からプリウスプラグインハイブリッド車は避けられております。
    もちろん日本で数十台は個人タクシー車両で出るでしようが、何万台のうちの何十台です。
    これからもベストカーを愛読するつもりです。
    いままで同様興味深い記事を誌面でお待ちしております。

このページの先頭へ